築30年後半から築40年超えると、建物の高経年化とともに住民の年齢も比例して高齢化していきます。そこで2回目、3回目の大規模修繕工事で検討が必要な工事にはどのようなものがあるかについ
てシリーズでお届けしてきました。最終回は、2回目、3回目の大規模修繕工事のうち、バリアフリー提案の一環として検討されることの多いエントランスの自動ドア化を施した事例を紹介します。
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エントランスのドアについて、「(手動の)扉が重く開閉がたいへん」「荷物を持っていると開けられない」「強風時に危険」「セキュリティを高めたい」等、住民からの要望により手動だった扉を自動ドア化しました。
現在はコロナ禍の影響により、不特定多数の人が触れるドアノブの衛生面から、感染症対策の取り組みとしても注目を集めています。
また、こうした改修工事は、自動ドア本体の設置だけでなく、天井や壁など周辺の工事が必要となることから、大規模修繕工事に含めて実施する管理組合も少なくありません。
【ポイント】
■開口高、天井下地の確認
・ 自動ドア設置のための天井下地や下がり壁の強度を確認する。
■扉の幅の確認
・ 車いす使用者、杖使用者等の利便性を考慮した有効幅を確保する。
・引越し等の荷物の出し入れ支障がないことを確認する。
■ドアエンジン(自動開閉する駆動部)
・ ベルト、モーター、制御装置などのドアエンジンの性能を確認するとともに、設置高さを確保する。
■開閉センサーの感度等の確認
・ 高齢者、障害者等がドアに挟まれないよう、センサーの感度及び開閉速度を確認する。
■ガラスの衝突防止対策
・扉は強化ガラス、合わせガラス等を採用する。
・ 透明のガラスは衝突の危険があるため、横桟(よこざん)の入ったデザインなどで識別できるようにする。
■巻き込み防止対策(安全対策)
・衣服やバックが巻き込まれる危険性に対応する。
・侵入防止のための防護柵を設置する
■工事中の防災対策、避難動線の確保
・高齢者、身障者に配慮した避難動線を検討する。
■工事中の防犯対策
・ ドアが撤去されオートロックが解除されるため、防犯対策を検討する。
(大規模修繕工事新聞 147号)