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孤立死問題で論議

孤立死問題で論議
NPO法人日本住宅管理組合協議会/集合住宅管理新聞『アメニティ』2022年2月5日付第473号「論談」より

 団地、マンションなどで高齢の住民が、人知れず亡くなる孤立死(孤独死)問題を、昨年12月の日住協厚木地区交流会(9管理組合10人参加)で取り上げ、活発な意見交換を行った。
 交流会でこのテーマを取り上げるのは初めてだが、実際に団地内で孤立死が出たという報告は4例あった。住民の死因は病死などだが、救助された例でも郵便受けに新聞やチラシがたまっていて、近隣住民が以上に気づいて自治会等に通報したなどの例だった。
 U管理組合では2016年夏のケースで、管理員が2、3日、その住民を見かけないことに気が付き、理事長に通知し、理事がドアブザーを押したが反応がなかった。厚木警察署に連絡し、警察官立ち会いでドアから声をかけたが反応がなかった。
 マスターキーの使用細則に基づき、ドアを開けようとしたところ、警察官からは勝手に入らず、所有者の近親者に連絡し、入室する許可を得てから行動するよう求められた。
 理事会に届け出ている近親者に伝え、マスターキーを使って警察官が部屋内に入り、脳梗塞で倒れている住民を発見。119番通報し、救急車で搬送したところ、発見が早かったので一命をとりとめた。
 入室の可否の問題について、このときは幸い連絡がついたから良かったものの、連絡ができなかったらどうするのか。
 U管理組合の場合、細則もあり、警察官も立ち会っているので、非常の事態として入室が許されるのは当然であろう。
 細則もなく警察官もいないとしても、安否確認はどうしても必要だから、緊急避難として違法性は阻却され、入室者の責任が問われることはないと判断される。
 孤立死例が発生した管理組合名の公表の是非も議論になったが、これは当該管理組合の意思を尊重するしかないと思われる。
 政府は内閣官房に孤独・孤立対策担当室を設け、有識者の見解を集約するなどの取り組みをはじめており、孤立死問題も高齢化社会の中での大きな課題として位置づけられる必要性がある。
(NPO日住協論説委員会)

(大規模修繕工事新聞 147号)


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