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素人コンサルタントに要注意

自宅マンションの知識で管理を語る自称“専門家”が急増中!? 

最近、マンション住民出身の素人コンサルタントが増えています。自分の住むマンションでの経験や知識などからコンサルタントとして他の管理組合に入り込み、アドバイザーとなったり、ときに理事や修繕委員になったり…。その代償として金銭授受なども行われています。
 言うなればバックボーンが何もない人が“専門家”“コンサルタント”を名乗っているわけです。管理組合側もどうしてこうした人に信頼関係を築けるのでしょうか?

実はマンション管理は…やればなんとなくわかる気がする

 実は、マンション管理は自分のマンションの管理組合業務を突き詰めることでなんとなくわかった気になってしまうものです。自分のマンションで行った管理会社変更や大規模修繕工事は語るに値するものなのです。 こうした人が独自でコンサルタントを名乗り、管理組合に入り込むのですが、言い換えれば、自宅マンションの知識を広げた経験だけなのです。そこが問題なのです。
 例えば、自宅マンションのために管理の勉強を開始します。ひとつのセミナー、一人の専門家の話、あるいは専門書籍を切り抜きで引用し、思い込みの個人的見解を一般論化して周囲(関係管理組合等)に説明するようなことが起こります。行政からの発信や報道などについても、やはり個人的見解を混ぜて説明を行ったりもしています。
 このような個人的見解は、民間企業者や業界に対して傾いた見方をしているものが多く、「管理会社は仕事ができない」などの性悪説から発想されるものになりがちです。またそれが管理組合にも受けがよいから、自称専門家が出来上ってしまうのです。
 さらに、特異な事例がほしいメディア(雑誌、MOOK本など)から取り上げられることもあり、勘違いが助長する原因にもなっています。取材はあくまで多様化するマンションの取り組み事例がほしいのであり、素人コンサルタントが専門家として認められたわけではないのです。
問題は管理組合の「信用の欠如」素人がプロの“肩代わり”
 マンション業界にも問題があるといえます。 今や管理会社、工事会社、プロのコンサルタントであるはずの建築事務所と管理組合との関係が「信用の欠如」から成っていることは否めません。そこで素人であってもコンサルタントと名乗る人が管理組合側に立って、自
宅マンションの知識+アルファを披露すれば、管理組合を手玉にとることは簡単なわけです。
 信頼できる業者かどうか見極められない管理組合の「信用」を得れば、素人コンサルタントはすぐに出来上がるのです。
 素人にプロの“肩代わり”をされてしまうのですが、なんとも情けない限りです。
“プロ”のコンサルタントは実績とバックボーンあり
 2001年に施行されたマンション管理適正化法において、マンション管理士制度が国家資格として位置付けられました。
 とはいえ、試験に合格しただけで“マンション管理士”を職業としている人は一握りでしかありません。
 もともと管理会社に勤めていた人、建築士事務所でコンサルタント業務を行っている人、または宅地建物取引士や司法書士、行政書士など、マンション管理が業務の延長線上にある人等が“プロ”のコンサルタントといえるのではないでしょうか。
 かくいう私もマンション・ビル改修コンサルタント会社に勤務し、建築設備の劣化診断、法定検査、改修工事などで各マンションでの理事会や修繕委員会に多数参加してきた経験があります。そのような実績がバックボーンとしてあるので、マンションコンサルタントを務めることができるのです。
 管理組合にわかってほしいことは、どんな職業も少しかじっただけで専門家になれるわけではないということです。 実績やバックボーンをよく理解していただき、偏った
見方や勘違いによって組合業務を進められていくことのないよう、注意してください。だ

大規模修繕工事新聞148号