個人情報保護と管理組合
NPO法人日本住宅管理組合協議会/集合住宅管理新聞『アメニティ』2022年12月5日付第483号「論談」より
個人情報保護法が成立し、来年は20年。この間、改正が行われ、2015年の改正では管理組合も法が適用される取扱事業者となり、個人情報の取得方法、その他、個人情報の管理方法を検証し、法律が定める基準にも基づいて取り組む義務が生じた。
2022年4月にはデジタル社会の発展による国民の個人情報に関する意識の高まりや、イノベーションを促進するための個人情報の保護と活用のバランスなどを踏まえた改正がされ、管理組合でもこれに従った対応が求められている。
◇管理組合がやるべきこと
2015年の改正に対応して、個人情報を取得・利用する時のルールをはじめとした個人情報を保管する時のルール、個人情報を他人に渡す時のルール等の作成が求められている。また、組合員名簿等の管理方法に留意、使用することに対する書面、細則等の整備も必要である。
もし、整備されていない管理組合があれば、できるだけ早くルールを整備したうえで、必要な情報を収集・整備することが必要である。
◇なぜ情報の収集が必要か
マンションを管理運営していく上で、各戸の所有者を把握することは必要不可欠であることはいうまでもない。
これは、総会の招集や管理費の徴収など管理組合としての基本的業務の遂行上必然的である。この対象は所有者とその家族に限ったことではなく、部屋の賃借人やその家族についても同様に収集し、保管・管理することが必要である。
氏名だけでなく、勤務先などへの連絡方法などが必要であるほか、緊急事態対応が目的であるから、できれば居住者以外の緊急連絡先も掌握しておけばいっそう効果的である。
◇二つの老いを考えて
個人情報の提供にはためらいがある人は多いかもしれない。しかし、居住者の高年齢化とマンションの高経年化という二つの老いを考え、居住環境と資産価値を守っていくためには、情報を生かして緊急事態に備えることは必須である。
管理組合としては、責任をもって、個人情報の保護を行っていくとともに、居住者に前記の必要性について、よく理解を求めるよう努力をお願いしたい。(NPO日住協論説委員会)
大規模修繕工事新聞 2023-01-157号