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管理組合と税務①「1.法人税 収益事業に限り、納税義務あり」

管理組合に課せられる税金には、国税として①法人税、②所得税、③消費税等があり、地方税として④都道府県民税・市町村民税、⑤事業税・事業所税等があります。この管理組合と税務の関係について、課税されるケース、非課税のケースはどういう場合なのかなどを整理し、数回に分けて掲載します。

1.法人税
 「人格のない社団等」である通常の管理組合も、管理組合法人も法人税法上は公益法人等と同様に扱われます。
 このため、管理費用の徴収などの非収益事業所得に対しては非課税となりますが、管理組合も管理組合法人も収益事業を営む場合に限り、法人税を納める義務があるということになります。
【携帯電話基地局の設置場所を業者に賃貸した場合】
 管理組合が通信業者との間で携帯電話基地局設置のため、マンション屋上等の使用を目的に建物賃貸借契約を締結し、その設置料収入を得ている場合は、不動産貸付業に該当し、法人税が課されます。
 その他、自動販売機設置料収入や太陽光発電設備による売電収入等についても収益事業と判定されるケースがあります。

【駐車場使用料と収益事業性】
 昨今、マンション駐車場では空きスペースが増え、区分所有者以外の外部利用を認めようと検討する管理組合があります。ただし、外部へ貸し出すことになると、駐車場業に該当して課税対象となる場合が出てきます。
 国土交通省では国税庁に照会し、以下3つのケースにおいて、マンション駐車場に関わる課税関係を明確化しています。

【収益事業の所得金額の分別管理】
 管理組合の場合、収益事業から生じた所得のみ法人税が課税されるため、管理費や修繕積立金会計と、収益事業に関する収支とを区分して経理しなければなりません。

【所轄税務署長への届出】
 収益事業を営む管理組合は毎年、各事業年度終了の翌日から2カ月以内に、所轄税務署長に対して所得金額、法人税額などを記載した確定申告書を提出しなければなりません(法人税法74条)。
 また、新しく収益事業を開始する場合は、事業開始後2カ月以内に所轄税務署長に収益事業開始の届出をしなければなりません(法人税法150条)。

大規模修繕工事新聞2023-02-158号