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総会での修正案の扱い

総会での修正案の扱い
NPO法人日本住宅管理組合協議会/集合住宅管理新聞『アメニティ』2023年8月5日付第491号「論談」より

 先日、ある管理組合から総会の運営についていくつかの質問があった。
そのうち、総会の場で修正案が出された場合の取り扱いについて考えてみたい。
■修正案の範囲
 マンション管理組合の総会では、どんな修正案でも出せるわけではない。規約で事前に議案として組合員に示されたものだけが審議の対象になるから、議案の性格を変えるような修正案は出せない。
 また管理費の値上げ等の場合、増額修正は原則として不可である。これは、増額は予想の範囲を超え、議案の性格を変えると考えられるからである。
 値上げの減額はいくらでもできる。
 それは、議案が否決できるのだから当然である。ただ値上げ議案を修正して値下げ議案にすることはできない。
 これも議案の性格が変わるからである。

■委任状の扱い
 委任状の扱いはどうか。
 委任状は受任者に態度表明を任せるものであるから、委任状を受けている受任者が修正案の賛否をその場で判断すればよい。

■議決権行使書の扱い
 議決権行使書は、行使者がすでに議案への賛否を決め、投票してしまっているのだから、新たな修正案には対応できない。
 賛否どちらに態度表明していても、修正案には「反対」の態度だと扱わざるを得ない。
 実際には、「この程度の修正なら賛成するだろう」と推定ができても、文書の上では態度が固まってしまっているから、融通を聞かせるわけにはいかない。

■集会主義に反する
 実はここが議決権行使書のデメリットのひとつである。
 「自分の意思が明確に表明できる」からといって議決権行使書を推奨する人も多いが、総会(集会)で討議を尽くしてよりよい結論を見出そうとする「集会主義」の立場からすれば、議決権行使書による態度表明は逆行である。
 議決権行使書による態度表明が多数になれば、総会での意見表明や採決は無意味に近くなり、議案の修正などありえない話になってしまう。(NPO日住協論説委員会)

 

大規模修繕工事新聞9月号(23-9)