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この人に訊く―株式会社サーフ 古川 文仁 社長

マンション等のリニューアル工事を手がける株式会社サーフでは2017年から、「マンション大規模修繕工事専門の現場代理人」の能力向上を目的とする、全建センターの「現場代理人研修システム」を毎年活用していただいています。現在、改修業界では人材不足を含む2024年問題、さらにはDX化など、現場環境の変化が進んでいます。お客様に求められる現場のあり方、それに伴う会社のビジョン等について、古川文仁社長にお話を聞きました。


− 全建センターの「現場代理人研修システム」をご利用いただいてから、今年で7年目になりました
 研修は、施工技術のほか、居住者対応などのソフト面でも改修工事会社としてのプロ意識を持ってもらうことが目的です。
 やはり、外部から講師を招くことで、伝わりやすいというメリットがあります。
 現場は経験の積み重ねが必要。経験が足りない20代は研修で補い、社員教育に生かしています。
 一回りした現在は、新入社員向けの研修として活用しています。新入社員はこの数年、4~5人採用していますが、学生時代にアルバイトで会社や仕事の雰囲気を知ってもらうインターン制度を導入し、仕事内容の理解と不一致をなくすよう努めています。
− 建設業の2024年問題といわれる働き方改革に向けた取り組みでは?
 現場の週休2日を推奨しています。工事の騒音問題もあり、お客様にも原則土日を休みにすることで理解をいただいています。
 業務効率のアップではDX化を進めています。現場に電子掲示板を設置して、お客様が工事の進捗状況や洗濯物情報などを見ることが簡単にできるようになりました。
 従来のような掲示板に紙モノを更新するケースと比べ、現場に行かなければならない手間が省けました。そのほかにも、現場代理人が紙モノの書類の整備で忙殺され、現場の監督が疎かになるといった本末転倒な事態を防ぐことにもつなげています。
 さらに1現場の着工からアフターまで、検査記録、竣工図書、写真、担当者すべての情報の保存整理を行うことができて、DX化の効果は大きいです。
− DX化で社内コミュニケーション効果も?
 今年から管理職以外の全員が参加する委員会(リクルート委員会・カイゼン委員会・イベント委員会)を設置し、部署の垣根を外して議論をする環境づくりをはじめました。
 お客様や現場作業員、営業、工務からの声を取り上げ、それを横展開して社内標準を確立していくことが目的です。
 カイゼン委員会では現場で気づいたことをすぐに写真などに撮り集めておき、管理職会議でプレゼンしたり、リクルート委員会ではSNS(インスタグラムやFace Bookなど)を使って、会社の雰囲気を発信したりと、ここでもDX化が役立っています。
 ほかにもチャット機能、ファイル送信、掲示版ができるアプリを使って日報、速報を行ったりと、DX化は社内コミュニケーションでも効果があります。
−株式会社サーフとして、今後の目標は?
 小さい会社だからみんなで協力することが肝心です。社員それぞれが自主性を持たせるために、次世代が意見を言える場を設ける。そうした環境づくりを心がけています。
 近年、50戸以下の管理組合からの直接受注が増えています。
 大手がやりたがらない小規模マンションを重視し、得意分野としていくことが目標です。

 


大規模修繕工事新聞 174号2024-06