震災発生時のマンション在宅避難
NPO法人日本住宅管理組合協議会/集合住宅管理新聞『アメニティ』2024年6月5日付第501号「「論談」より
◆M7クラスの大地震
1995年以降に発生した阪神・淡路大震災、新潟県中越地震、東日本大震災、北海道胆振(いぶり)東部地震、熊本地震そして今年1月1日の能登半島地震。地震予知は不可能であるが、国は、2022年から30年以内に70%の確率で南関東のどこかでM7の地震が発生すると予測している。
◆マンション在宅避難
皆さんの居住するマンションは、堅固な不燃建築物で耐震性が確保されていれば、地震発生時に生命を守るシェルターの役割を果たすことは、阪神・淡路大震災、東日本大震災などの経験から明らかである。
建物が大きな被害を受けていなければ、マンションにとどまる在宅避難が可能である。
しかし、そうはいってもマンションの多くは、現状のままでは在宅避難ができるわけではなく、日ごろの備えが前提条件である。
◆1週間程度の備蓄を
公共の上下水道が断水を免れても、水を圧送したり、屋上の水槽に貯めて使用するマンションは、停電になれば水を使用することができない。
生活に必要な物資の備蓄については3日分では足りない。1週間分程度の飲料水と食料を備蓄する必要がある。
それ以上に重要なのはトイレである。
マンションでは排水管が損傷していないことが確認できるまで、水道、特にトイレの仕様は厳禁である。これは、マンションでは在宅避難する場合の最も初歩的なルールである。
1週間分程度の簡易トイレ等を各住戸で備蓄する必要がある。
◆防災計画整備し訓練
地震が起きてから在宅避難の運営方法を考えるのでは遅い。
そのために管理組合では、自治会と連携してマンションの防災契約や発災時の応急措置、災害対策本部の設置、居住者の安否確認、災害弱者への支援、被災生活ルールの適用、公的避難所や町内会等との連携、行政や消防との連携方法などをまとめたマニュアル等を整備しておくことが求められる。
そのうえで、日ごろから管理組合として訓練を重ね、迅速な対応ができるよう備えておくことも検討してほしい。
(NPO日住協論説委員会)