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マンションの維持管理の適正化や再生の 円滑化に向けた取り組み、政策のあり方を審議 「当面取り組むべき施策の方向性」とりまとめ(案)を発表/国土交通省

国土交通省が社会資本整備審議会住宅宅地分科会に設置したマンション政策小委員会(委員長:齊藤広子・横浜市立大学教授)は昨年12月20日、第3回委員会を開催し、これまでの審議を踏まえたとりまとめ(案)を発表しました。
 小委員会は昨年10月、マンションの維持管理の適正化や再生の円滑化に向けた取り組みの強化等、マンション政策のあり方を検討するために設置され、11月より審議を行ってきました。
 本とりまとめ案は12月26日から1月24日までパブリックコメントを募集。2月7日の第4回委員会を経て、2月17日には社会資本整備審議会住宅宅地分科会に「とりまとめ」として報告する予定となっています。
 小委員会では、国に対し、本とりまとめに基づき、法制度の整備を含め、必要な措置を講じること、関係団体への徹底した周知等について配慮することを求めていきます。

さらに、マンションの高経年化等で生じる課題が今後さらに深刻化すると見込まれ、新たな管理形態・所有形態による課題が生ずることも想定されます。
 このため、小委員会では「国においても今後もマンションストックの状況を継続的に把握し、必要な検討が行われることを期待する」としています。

 

大規模修繕工事新聞 2025-02(182号)

当面取り組むべき施策の方向性(抜粋)

(1)マンション管理適正化を促す仕組みの充実


①管理計画認定制度の拡充等
・ 新築マンションの約半数で予備認定が取得されているものの、分譲後、必ずしも管理計画認定の取得に誘導できていないことから、新築マンションも対象とし、分譲業者から管理組合に引き継ぐ仕組みを導入するべき。
・ 管理計画認定を取得したマンションに対し、認定証やステッカーの発行、不動産ポータルサイトへの表示など、一部で行われている取り組みを全国的に広げる措置を講ずるべき。
・ マンションの資産価値が適正に評価・選好される市場環境の整備を進めるため、長期修繕計画や修繕積立金額、修繕履歴などを公表する仕組みを検討するべき。

②管理業者管理者方式への対応
・ 管理業者が管理者として選任される場合、区分所有者に対し、管理者事務受託契約に係る重要事項説明、利益相反のおそれが高い行為を行おうとする際の事前説明を義務付ける等の措置を講じるべき。
・ 管理者の業務執行に対する監督の職責が監事に集中し、監事に期待される役割が増大する可能性があるため、監事に選任される可能性のあるマンション管理士等の外部専門家の育成を推進するべき。
・ 管理業者管理者方式が増加し、トラブル等も増加する可能性から、区分所有者や管理組合からの相談窓口の強化を図るべき。

(2) 多様なマンション再生のニーズに対応した事業手法の充実


①区分所有法の見直しへの対応
・ 区分所有法の見直しにより措置される予定の一棟リノベーションに対応する事業手続を創設するべき。
・ マンション建替法の事業組合の設立要件や権利変換計画の決議要件等について、区分所有法の見直しを踏まえた要件緩和を行うべき。・ マンション再生事業のガイドラインやマニュアル等を整備し、技術的な支援に努めるとともに、積極的に事例収集を行い、成功事例の横展開を図るべき。


②多様な建替え等のニーズへの対応・ 隣接地や底地の所有権等について、建替え後の区分所有権等への権利変換、関係権利者との合意形成のための措
置を講ずるべき。・ 市街地環境に支障がない範囲で、斜線制限等についても
特例措置を設けるべき

(3) 地方公共団体によるマンション管理適正化・再生円滑化への関与の強化・充実①地方公共団体の権限強化

①地方公共団体の権限強化
・ マンションの管理状況の把握や勧告後の対応を可能とする仕組みの創設など、地方公共団体の権限を強化するべき。
・ 管理が適正化されず、外壁等の剥落等が発生するおそれが高い危険なマンションに対し、地方公共団体から能動的に関与できるように地方公共団体の権限を強化するべき。
・ 区分所有法の見直しにより創設予定の財産管理制度について、地方公共団体が積極的に活用できるようにするべき。


②地方公共団体をはじめ地域全体で支援を行う体制の強化
・ 権限強化等を踏まえ、地方公共団体の担当者向けの研修を行うなど、地方公共団体の体制の強化に向けた支援を行うべき。
・ 地方公共団体とマンションの管理組合への支援を行う民間団体との情報共有を円滑化し、連携を強化するため、地方公共団体がこれらの民間団体を登録できる仕組みを導入するとともに、マンションの管理等に関連する専門家の育成を推進し、地域全体でマンションの管理組合を支援する体制の強化を図るべき。