全建センター給排水設備改修相談室・木村室長による「マンション給排水管改修工事『見積書の見方』」の5回目を掲載します。最終回の今回は〈電気温水器排水トラップ更新工事〉〈共通仮設費〉〈現場経費(法定福利費含む)、一般管理費〉です。詳しくはVimeo、YouTubeによる第71回管理組合オンラインセミナーの動画配信を視聴してください。全建センターのホームページから閲覧することができます。
◆見積書の見方(16)
このマンションは電気温水器で給湯設備だったので、
電気温水器のトラップの取り替えというのがありました。深夜電力で沸かして、お湯を貯める仕組みです。
お湯が沸いたときに出るドレン水などを逃すためにト
ラップがついていますが、普段目につかないところにあ
るため、すごく腐食しているものをよく見かけます。
腐食が進んでいると、各戸で電気温水器を取り替える
ときに排水がなかなかできなくて工事がうまくいかない
ケースが結構あります。このため、今回の工事では、腐
食しにくい耐熱性の塩ビを使ったトラップに全部取り替
えました。
専有部分なので、各戸負担で行うべき部分かもしれませんが、今回は管理組合の事業で工事会社が室内に入る
こともあり、この際に全戸やってしまいましょう、と管理組合負担で行いました。
◆見積書の見方(17)
今回の共通仮設工事では、敷地内に現場事務所等を設置することができました。
仮設計画は敷地の空いてるスペースがあるかないかなど、いろいろな条件によって、かなり費用が違います。
一概には言えませんが、私の経験値では月100万円くらいかかるというイメージです。
管理組合からすると、共通仮設というのは工事が終わったら全部なくなってしまう。
何も残らないのでなるべく安くしていきたいということになります。
今回の事例では、全体工期2カ月間、27戸の工事で2,240,000円が計上されました。
◆見積書の見方(18)
最後は現場経費、一般管理費についてです。
今回の事例では、現場経費は見積金額の合計の5%と法定福利費ということで、見積もり上の労務費の総計の約15%。一般管理費は10%が計上されています。
2024年4月から時間外労働の上限規制がスタートし、45時間、年間360時間が上限規制になりました。
給排水管の改修においても、週休2日制とする現場が増えてきて、なおかつ職人さん不足という問題があり、工事価格が上がっていく要因になっています。
あとは、工事会社の企業努力によって合理的なやり方を模索し、経費をどれだけ下げられるかというような、そういったノウハウが必要なのかな、という気がします。

給排水設備改修相談室長
全建センター筆頭理事:木村 章一
・一級管工事施工管理技士
・一級建築施工管理技士
