国土交通省は10月26日10時~、東京・虎ノ門のビジョンセンター虎ノ門で、「マンション関係法改正でどう変わる?これからのマンション管理」をテーマに、マンション管理適正化シンポジウムを開催しました。
当日は基調講演として、国土交通省住宅局参事官・杉田雅嗣氏、同課長補佐・山岸侑氏より、令和7年マンション関係法改正および標準管理規約改正の紹介。また、法改正等に関する国土交通省の取り組み、マンションの管理に関する最新の動向などの説明がありました。
後半は「標準管理規約改正!管理規約を見直さないと、どうなる?」をテーマに、第一線で活躍するマンション管理の専門家によるパネルディスカッションを行いました。
【司会】
横浜市立大学 国際教養学部 教授 齊藤 広子 氏
【パネリスト】
横浜マリン法律事務所 代表弁護士 佐藤 元 氏
(一社)マンション管理業協会 業務法制委員会委員 久保 依子 氏
(一社)日本マンション管理士会連合会 副会長 髙辻 潤司 氏
(NPO 法人)全国マンション管理組合連合会 理事 藤木 賢和 氏
写真は左から、齊藤氏、佐藤氏、久保氏、髙辻氏、藤木氏
【パネルディスカッション概略】
●総会決議の多数決要件の見直し
(主な改正点)
・改正法の施行後、規約改正や共用部分の変更などの特別多数決議事項は、「出席区分所有者および出席議決権の各4分の3以上」の多数決で決められるようになる。
・定足数については、「区分所有者総数と総議決権の各過半数」とする定めがある 。
・共用部分の変更決議のうち、エレベーター設置や耐震補強工事については、出席区分所有者および出席議決権の各3分の2以上に多数決要件が緩和される 。
(実務上の留意点)
・催促しても委任状すら出さない、総会に出席しない区分所有者が一定数おり、総会の開催や決議ができないという悩みが軽減されることが期待される 。
・欠席者が決議の分母から除外されるため、出席するかどうかを事前に判断できるように、招集通知の記載事項を強化し、「議題のみでなく議案の要領」を示す必要がある 。
・総会招集通知について、改正法の施行後は、総会開催日の1週間前までに招集通知を発する必要があり、規約でこれより短縮する定めはできなくなる 。
●専有部分の給排水管等の全面更新
(主な改正点)
・規約に定めた上で、共用部分の変更に伴い、必要となる専有部分の保存行為等(給排水管の全面更新など)を、総会決議を経ることによって、管理組合が実施できることになる。
(実務上の留意点)
・管理組合が専有部分の配管更新費用を修繕積立金から支出する際、先行して配管更新を済ませた区分所有者に対する衡平性の確保措置を取る必要がある 。
・衡平性確保の具体的な方式は以下のとおり。
①全戸見積取得方式:先行工事実施住戸ごとに現在価値ベースで見積もりを取得する。高額になる、時間がかかるというデメリットがある 。
②タイプ別見積取得方式::部屋のタイプごとに見積もりを取得する。時間が短縮できるが、正確性は全戸方式に劣る 。
③全戸同額方式: 先行工事の住戸に一律の金額を支払う(お見舞金のような形)。財務が潤沢な管理組合に多い 。
●国内管理人制度の導入
(主な改正点)
・区分所有者が海外に住んでいる場合(総会通知の提出遅延、連絡困難、管理費の徴収困難など)のトラブルに対応するため、法律で国外管理人制度が導入される。
(実務上の留意点)
・国外管理人は、招集通知の受領、議決権行使、専有部分の問題対応、管理費・修繕積立金の支払いなどの権限をセットで有する 。権限はあっても、義務はないことに留意。管理費等の滞納があった場合、原則として国外の区分所有者本人に請求や裁判を行う必要がある 。
・管理組合は、この制度をそれぞれの管理規約で定めて、海外に住む区分所有者に対して義務付けることができる 。
・規約を改正するだけでなく、国内管理人に想定される人物(不動産会社、国内の親族など)を十分に説明し、選任される人へ事前に連絡を取るなど、丁寧な対応が必要 である。
※シンポジウムは会場とオンライン開催併用で行われましたが、当日の様子は国土交通省より後日、動画が配信される予定です。
大規模修繕工事新聞 2025-11月 191号





