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第79回管理組合オンライン・セミナー採録 /講師 全建センター理事

第79回管理組合オンライン・セミナー採録
『マンション給排水管改修の真実~給排水管改修工事 成功への軌跡』
講師/全建センター理事・給排水設備改修相談室室長 木村 章一 氏

 

一般社団法人全国建物調査診断センターが2月22日に配信開始した第79回管理組合オンライン・セミナーの抜粋を採録します。第79回セミナーでは、給排水管改修工事を行った管理組合 ・馬場満喜榮理事長と全建センター給排水設備改修相談室 ・木村章一室長との対談がメインとなっています。今回は第1章として、工事の経緯、工事内容などについて木村室長の説明を抜粋して採録いたします。
なお、視聴動画は下記URLよりVimeoとYouTubeで公開しています。
//zenken-center.com/79sem0222/
また、本セミナーの詳細は、全建文庫No.60 『マンション給排水管改修の真実~給排水管改修工事 成功への軌跡』に収録されています。全建文庫電子版は、全建Library(サブスク)で読み放題になります。下記URLより登録申し込みをお願いします。
//zenken-center.com/library/

第1章 マンション給排水管改修の真実
建物概要
所在地:神奈川県
規模:10棟・5階建・300戸
竣工:1985~1988年

 

 

 

 

 


給排水管更新工事の背景
 馬場さんが理事長を務めていた2021年当時、築35年を経過したころですが、改めて配管の診断を行い、給排水管工事の是非を判断すべきではないかと考えていました。というのも遡る2013年の時、管理会社によって配管の劣化診断が行われ、特に屋外埋設給水管については「早期の改修」を勧められていたのですが、それから8年もの間、更新工事は行われず、保留の状態が続いていたからです。
 しかしながら、理事会は1年交代の輪番の交代制であるため、継続性はなく、給水管更新の必要性についても関心が薄かったような背景がありました。「このままでは、マンションの給排水管が痛んでいくだけだ」。馬場理事長のもと、2021年7月に再び給排水管劣化診断を全建センター給排水設備改修相談室に発注されることになります。これが私どもとの付き合いのはじまりでした。
 調査は9月末に実施。その結果、11月に理事会で給排水管更新工事の必要性を報告させていただきました。

 

 

 

 

 

基本コンセプトの作成
 全建センターでは、給排水管更新工事の基本コンセプトをまとめるにあたり、所管庁と打ち合わせ、現行の貯水槽方式と直結増圧方式などの可能性や、道路埋設管の取扱いなどについて2022年1月の理事会でコンセプト案を提出し、検討しました。
 2月には住民説明会を7回開催しました。コロナウイルスの時期でもあったので、1回50人の単位で行うよう努めました。
 その後、説明会で住民のみなさんからのご意見、質問をいただいて、それを反映したコンセプトの練り直しを繰り返しました。
 災害時にも活用できるように、今ある受水槽を生かした方式も検討いただきました。当マンション住民の概算650人の6.15日分の水を確保できることがわかったので、10棟のうち受水槽方式と直結直圧に切り替える方式の2通りの給水システムにする提案もいたしましたが、受水槽のメンテナンス費等を理由に受水槽を廃止する声が多く望まれました。
 次に、水圧検査の結果から、直結直圧方式でも本管からの供給圧力は1階も5階も同一圧力が確保されることがわかりました。直結直圧方式では、増圧ポンプに費用がかかります。
 当センターでは、直結直圧方式にすれば年間約287万5,000円のランニングコストが削減できる試算を出させていただきました。そこで、最終的に全棟を直結直圧方式で行うことが決まりました。
 受水槽の廃止、全棟直結直圧方式ということで、マンションとしては、かなり省エネ化が図れたというふうに考えています。
 2022年3月の臨時総会で「共用部分給水管の更新及び給水方式変更、洗濯用排水立て管の更新及び同専有部分工事、及びこれらの工事予算の承認の件」を発議、決議されました。

 


メーターボックス内の配管の設置状況
 こちらのマンションは特徴的なことが何点かありまして、その一つがメーターボックス内の配管の設置状況です。
 今回、劣化診断によって更新工事を想定している共用部分の給水立て管、枝管のすぐ後ろに、将来的に改修が必要となる洗濯系統の共用部排水立て管が通っています。
今、給水管だけ更新しても、近い将来、そのすぐ後ろにある排水立て管も更新しなくてはなりません。必要なら“道連れ工事”として、一緒に改修しておこうということで、この共用部分の排水立て管の洗濯系統を一緒に改修工事をして、将来の合理化を図るということを行いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


給排水管更新推進チームの発足
 2022年7月、前期理事と新理事、全建センターで構成される給排水管更新推進チームを発足させました。
 国土交通省「マンションストック長寿命化等モデル事業」という補助金事業があることを知り、馬場理事長主導で申請資料の作成に入りました。全建センターは資料作成の補助及び提供を行っております。
 同事業は、長寿命化等へ先導性が高く創意工夫に富む改修等への支援ということで、補助率も大きく、なんとか採択されないかということで応募することになりました。
 チーム会合では、同モデル事業の提案申請書の提出が11月のため、申請書類のチェック、再チェックを入念に行いました。
 チームの活動としては、洗濯機、排水管調査の専有部立入同意書の配付と回収確認日程を確定、それと所管庁の打ち合わせ、申請日程の確認、駐車場移動の同意の確認、工事説明会仕様の確認、オプション案の確認など。12月には 「給排水管更新工事の推進状況のご報告」を全戸配布するなど、チームで活動を行っていきました。
 専有部分の立ち入りに関する同意書では、役員の方々が直接各戸にお伺いして、同意書の回収に努めるなど、こうした努力がこの工事の成功に大きく寄与したというふうに思っております。
 同モデル事業については、馬場理事長と私どもで一生懸命申請書を作成しましたので、採択された通知が12月に届いたときは、非常に嬉しかったなということを思い出します。

 


共用部分の着工と専有部分工事への機運の高まり
 10棟300戸の共用部分給水管更新工事、給水方式の変更、洗濯排水系統の更新工事は、2023年2月1日から11月26日の予定で着工されました。
 ところが、「マンションストック長寿命化等モデル事業」が採択され、補助金の交付が決まったことから、続けて専有部分の給水管・給湯管更新への期待が高まってきました。
 居住者アンケートを実施したところ、76%が専有部分の給水管・給湯管更新を修繕積立金で行うことについて希望されました。
 それでは、専有部分も進めて行こうということで、動き出すわけです。
続きは第2章にて。


大規模修繕工事新聞 2026-03月 195号