
一般社団法人日本マンション学会は4月25日、26日、東北大学川内南キャンパスで第34回学術大会<仙台大会>を開催しました。
本大会の全体テーマは「マンションとまちのこれから」。区分所有法などマンション関連法が4月に施行され、マンション管理の新たなステージに入りました。行政の権限強化とともに、マンションを都市の中で、まちづくりとしてとらえる必要性が高まっています。
メインシンポジウムのテーマは「都市政策・まちづくりから見たマンション」として、マンションと都市の関係性に光を当て、経済学、社会学、都市工学、住宅政策の研究者らが、それぞれの立場から、都市の持続的な発展とマンションの関係についてディスカッションを行いました。
メインシンポジウムの冒頭では、仙台市・郡和子市長が来賓として挨拶を行いました。
また、学術大会前日の24日には、エル・パーク仙台にて、「都市防災とマンション」について市民シンポジウムを開催しました。
「都市政策・まちづくりから見たマンション」
趣旨説明 東北大学・堀澤明生准教授
1. マンションの二面性と都市政策における位置付け
マンションは、専有部分という「私的所有」の対象であると同時に、都市の居住環境や景観を構成する「公共財(ストック)」としての側面を併せ持っています。
近年、マンションの老朽化や管理不全、空き家化が進行しており、これらが周辺環境に及ぼす衛生・防犯上の悪影響(外部不経済)は、もはや個別の所有者の問題に留まらず、都市政策上の重要な課題となっています。
2. 都市計画・管理政策の転換
これまでのマンション政策は、開発の促進や老朽化した建物の建て替え支援が中心でした。しかし、2025年改正マンション関係諸法によって、現在は既存ストックの適正な維持・管理や、管理不全の防止へと重点が移っています。
自治体は、法改正や独自の条例を通じてマンションの管理状況を把握し、必要に応じて指導や助言を行うなど、都市ガバナンスの一環としてマンション管理に積極的に介入し始めています。
3. 都市機能の維持と立地規制
人口減少社会においてコンパクトな街づくりを推進するため、マンションの立地を抑制あるいは誘導する「出口戦略」としての立地規制が検討されています。
無秩序なマンション供給をコントロールし、都市のスポンジ化(空き地の散発的な発生)を防ぐことは、都市の価値を維持するために不可欠な視点となっています。
4. 検討すべき5つの視点と今後の展望
本シンポジウムでは、今後のマンション政策を議論する上で以下の5つのポイントを提示します。
・経済的な知見により、マンション政策に与える含意の獲得
・現在のマンション購入者の状況や供給側の社会的知見の獲得
・都市部で既存ストック化するマンションの活用
・マンションの合理的供給コントロールとマンションが都市において果たす役割
・高経年マンションに対する地方自治体の具体的な対応策
これらの検討を通じて、それぞれの都市の状況に「テーラーメイドされた政策」を準備し、将来にわたって安心で賑わいのある都市環境を確保することを目指します。
大規模修繕工事新聞 2026年6月 198号










