
一般社団法人全国建物調査診断センターが6月28日に配信開始した第81回管理組合オンライン・セミナーを抜粋・採録します。今回は、『マンション管理組合が談合問題を乗り越えるための手法とは』をテーマに、一般社団法人全国建物調査診断センター所属・瀬川香里氏(アバター理事)による講演の様子を紹介します。
本日のセミナーのテーマは、『マンション管理組合が談合問題を乗り越えるための手法とは』ということで、お送りをさせていただきます。
1.報道されていない談合問題の真実とは

2025年3月4日、公正取引委員会が関東圏のマンションの修繕工事業者に対し、独占禁止法違反の疑いがあるとして立入検査を行いました。報道では、20社あるいは拡大して30社。コンサルタントも関与しているのではないかということでした。
各報道機関による報道は、ほぼほぼ施工会社さんの数に集約されていますが、実際ここに報道されていない真実がありまして、立入検査を受けた会社は20社や30社という数ではなく、実質的に60社を超えると言われています。
つまり、関東地区のマンションにお住まいの皆様が監修工事を依頼しようとする、ほぼ全ての会社が立入検査の対象であったとみなしていただいて間違いがないものであります。
したがって、皆様はこの事実を踏まえた上で現実的な行動をする必要があるということです。
この1年間、管理組合の皆様が工事会社を選ぶ際、当センターへの問い合わせにもよくあることですが、「立ち入り検査を受けていない施工会社はどこだ、どこだ」と探し回り、「立ち入り検査を受けたところはダメな会社」、あるいは「立ち入り検査を受けていない会社は良い会社」と簡単に2分をして、施工会社選びに携わっている管理組合が多いのではないでしょうか。
先ほど60社を超える会社が実際に立ち入り検査を受けたと申し上げました。この数を現実的に捉えると、立ち入り検査を受けていない会社を探すというのは極めて困難であるということになります。
談合していない会社が、施工品質が良いものをご提供できると、必ずそう言えるのでしょうか?「談合していません」イコール「品質の良い会社」ではないということを、ここであえて皆様方に立ち止まってお考えいただきたいと思います。
こうしたいわゆるパニック心理のようなものの状況であるところに、なりすまし理事、あるいはなりすまし委員、それに関連する工事会社がつけ込んでくる、つけ込む隙を与えている。
非常に危ない面が今その真理の中にあるということを申し上げたいと思います。
マンション修繕工事でのなりすましは、刑事事件にまでなりました。大変な問題です。
これを知らない方、大変に多いんですけれども、談合の問題よりも、こちらの方が実は大変に重い、そして悩ましく、重大な問題であります。
ともかく、管理組合の皆様の「談合問題」に対する不安につけ込み、パニック心理になり、それをいいことに、そこにつけ込む会社があると、そうした営業手法をとる会社があることをご認識していただきたいと思います。
2.談合させない管理組合の行動指針
実際に管理組合がどうやったら談合をさせないようにできるのか。具体的な手法を教えている専門家あるいは機関はありません。また、そうした報道もありません。
逆に、先ほどから申し上げている管理組合のパニック心理を煽るばかりです。
そこで、これが最も重要だと考えまして、行動の指針並びに具体的な手法について皆様方にご説明していきます。
どうやったら談合させない仕組みができるのか。
まず、やってはいけないこと。それは談合に関与したか否かだけで排除をしていく、という行為です。
談合への関与だけで、入口を狭くしてしまうとどうなるか。冒頭に述べた報道されていない事実、すなわち公正取引委員会の立ち入り調査の対象が60社を超えているという実態があり、そこには、実績や技術力も豊富で、高品質な工事を提供できる施工会社が多く含まれています。
結果として、実績も技術力もなく、品質が悪い施工会社を選択する可能性が大きくなると言えるわけです。
次に、この際やるべきこと。管理組合として談合させない仕組みをしっかりと構築することです。
こうした仕組みの構築に対し、必要なことは、正しい情報を基にした検討が大前提となります。
正しい情報とは何か。ネットで探した口コミにこう書いてあった、会ったこともない、見知らぬ人たちがあの会社は悪いと言っている。
これは正しい情報ではありません。
この時点で本当に正しい情報は何かといえば、最も信頼できるのは国土交通省から出ております指針や通達です。すでに国土交通省からは、談合防止のための様々な手法が公表されています。
報道も煽るばかりで、国土交通省からの指針で談合が防止できる方法が出ているなどということは一向に報道してくれません。これも報道されていない事実のひとつです。
正しい情報を基にした検討が大前提です。
国土交通省から出ている指針や通達を利用することで、談合防止のための様々な手法が公表されているということ。これに対してしっかりと皆様方は、アクセスをして認識をして行動するということが非常に重要であり、やるべきことである。このようにお伝えをさせていただきたいと思います。(次号に続く)
大規模修繕工事新聞 2026年8月 200号




