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香川総合法律事務所シンポジウム開催

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香川総合法律事務所は8月7日、緊急シンポジウムとして、令和8年1月22日に出された2つの最高裁判決をテーマに弁護士会館にて開催しました。

1月22日最高裁判決は、マンション管理の実務と法解釈の現場に大きな波紋を広げました。この判決をとおし、本シンポジウムでは区分所有法理論の本質を問う白熱のパネルディスカッションが行われました。
本稿では、法律の専門家たちが指摘した「マンション法制の根源的な矛盾」を要約します。

 
登壇者
丸山英氣氏(千葉大学名誉教授・弁護士)、戎正晴氏(弁護士)、花房博文氏(創価大学教授)、藤巻梓氏(国士舘大学教授)
司会
香川望修氏(香川総合法律事務所・弁護士)
 
管理組合に責任はあるのか?
今回の最高裁判決において最も議論を呼んだのが、民法717条(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)の解釈です。判決は、管理組合に対して「占有者」としての責任を認める余地を示しました。
しかし、登壇した専門家らは異論を唱えます。戎正晴弁護士は、「区分所有法上、管理の主体はあくまで区分所有者であり、3条団体(管理組合)には何の実態も権限もない」と指摘します。
花房博文教授も、「管理組合がプールしている修繕積立金は管理のための財産であり、損害賠償のために取り崩すことは本来想定されていない」と判決の合理性に疑問を呈しました。

「2つのマンション法」というジレンマ
なぜこのような乖離が生じるのか。その根本原因として丸山英氣名誉教授が提起したのが「2つのマンション法」という概念です。
昭和57年に建設省(現・国交省)主導で「標準管理規約」ができ、翌58年には法務省主導で「区分所有法」が改正されましたが、両者の立法担当者間に接触はありませんでした。
これにより、物権法としての「区分所有法」と、管理組合を中心とする「標準管理規約・マンション管理適正化法」という、理念の異なる二つのルールが並存することになっています。
裁判所すらも「管理組合」という法的実体のない言葉を唐突に判決文で用いるほど、実務(管理組合方式)と法律(区分所有者の共有法理)の乖離は深刻化していると指摘しています。

ドイツ法との比較と今後の展望
諸外国ではどう対応しているのか。藤巻梓教授によれば、ドイツでは2000年代以降の判例を経て、現在では管理団体に「完全な権利能力」が認められており、団体が一括して権利行使や義務の履行を行う構成が整っているといいます。
日本の現状を打破するための解決策として、戎弁護士は「曖昧な権利能力なき社団での運用をやめ、全マンションを『管理組合法人』にしてしまうべきだ」と提言。
一方、丸山教授は「物権法としての区分所有法とは別に、管理組合を中心とした規律を定める『マンション法』を新たに立法化すべき」と、抜本的な法整備の必要性を説いていました。

理論の整理が急務
司会の香川希理弁護士は、「理念を語る前に、まずは現行法でどこまで解釈できるのか、理論を整理することが不可欠」と総括しました。
高齢化と建物の老朽化という「2つの老い」に直面する現代マンションにおいて、法理と実態の歪みを是正することが急務だと言えるでしょう。

大規模修繕工事新聞 2026年9月 201号


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