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本当にあった工事の怖い話③

管理組合役員勉強会

「大規模修繕工事事例特集」その3

3 / 23 東京・京橋 住宅あんしん保証本社会議室にて

全国建物調査診断センターと建物修繕技術協会が開催した管理組合役員勉強会「役員さん、大規模修繕工事の備えは十分ですか?」を紙上採録する3回目。講師の㈱リノシスコーポレーション(1級建築士事務所)佐藤成幸常務取締役が話す「大規模修繕工事事例特集~本当にあった工事の怖い話、嬉しい話、他~」は勉強会参加者からたいへん好評を博しています。今回は番外編として「工事の笑い話」も掲載します。
 次回勉強会の予定は6月29日㈰です

大規模修繕工事事例・本当にあった工事の怖い話③

5.消えた現場代理人Ⅲ

物件概要:RC 5階建て・1棟・45戸・工期:4カ月間

<経過>

施工会社の現場代理人は常勤契約で施工管理を請け負っていた。ある日、午後から設計事務所の監理者と打ち合わせを行って検査結果を受け、その夜に理事会で工事進捗報告のための定例会議を開催する予定にしていた。
それに来ない…。現場代理人は予定の午後7時になっても集会室に現れないし、携帯電話も通話中となっている。
現場事務所に行くと、なんと、パソコンもなく、事務机の上がきれいに整理されているではないか。
監理者が施工会社本社に電話をすると「実はこちらも探しています」「理由は言えません。とにかく探しています」
「理事会報告はそちらでやっておいてください」―なんで消えたのだ?

<その後…>

結局、当の現場代理人はそれきり現れず、現場は1週間ストップしていたが、別の代理人が赴任して再開した。
施工会社本社の説明によると、実態はこうだった。
問題の現場代理人は施工会社の従業員ではなく、一次下請け会社の専務であった。その一次下請け会社が計画倒産するため、社長をはじめ役員が夜逃げ同然の雲隠れをしたが、その際に専務であるこの現場代理人も同行していたということであった。

この後、工事は完工したが施工会社に対しては、契約前提の誠実、信義に欠ける虚偽申請のため、ペナルティを科した。

6.番外『笑い話』

廊下天井照明取替え工事で「?!」

物件概要:RC 7階建て・129戸

<経過>

その昔、とある湖畔に立地するマンションで廊下の天井の照明器具を取り替える工事をしたことがあった。
当時の理事会から注文はこうだ。「湖が近いせいもあり、ユスリカ(揺蚊)が大量発生して廊下の天井の照明にまとわりつく」「おまけにユスリカを食べるためにクモが巣を作るので清掃が大変で困っている」「ユスリカが来ないような光を出す照明器具に取り替えてほしい」。
設計事務所として「そんな照明器具あるのかぁ?」と思いながら探すこと数日。やっと見つけた。「蛍光灯の光が黄色で波長が虫が忌避する性能です」。
「それでいい。初夏だからすぐに取り替えてくれ」という理事会のお達しであることから、施工会社に無理いって全戸1日で一気に取り替えた。
ところが数日して理事長から電話が―「あの照明はダメだからすぐに取ってくれ」「ユスリカに効きませんか」「違うけど、すぐ取ってくれ」「理由は何ですか?」「○○○で困った」「○○○って、???」

<その後…>

「○○○で困った」は、「土曜の夜にラブホテルと間違った車がたくさん敷地内に入ってきて困った」だった。
黄色の照明に輝く湖畔のマンション。なんとなくそんなようなホテルに見えなくもないし、見渡すと黄色の照明器具をつけたラブホテルが数多くあった。ラブホテルもユスリカに困っているという悩みは一緒だったんでしょうね。

(大規模修繕工事新聞 2014-6.5 No.54)


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