役員のなり手不足の打開策
管理規約の変更による対応例
マンション標準管理規約(単棟型)第35条は管理組合役員について述べていますが、役員のなり手不足に対応する目的で2011年7月に条文が改正されました。
(旧)
理事及び監事は、○○マンションに現に居住する組合員のうちから、総会で選任する。
(新)
理事及び監事は、組合員のうちから、総会で選任する。
改正コメントでは、「役員の資格要件をマンションへの居住の有無にかかわりなく区分所有者であれば、組合員としての役員資格を与えて、それぞれのマンションの実態に応じて、居住条件を加えることも考えられる」として、組合員からの役員選任については、各マンションでの判断にまかせた形としています。 組合員の配偶者または成年に達した一親等の親族も役員になれるとするケースもまれではありません。
マンション外部の専門家を活用し、管理規約に盛り込んだリゾートマンションの例もあります。
規約第○条第2項(役員)
2 理事及び監事は、次に掲げる者のうちから、総会で選任する。
(略)
4 組合員でないものの、弁護士、マンション管理士、建築士その他マンションの管理等に関する専門的知識を有
する者で、理事会がその決議により推薦する者(ただし、その人数は役員定数の3分の1を超えてはならない)。
「住民活動協力金」の新設
自ら専有部分に居住しない区分所有者に対し、「住民活動協力金(戸当たり月額2,500円)」を新設し、支払いを求めていた件で最高裁第三小法廷は2010年1月26日、管理組合による「住民活動協力金」の請求を認めました。
外部に住んでいることを理由に役員にならないのは、管理組合の運営には全く関心を示さない非協力者と同じことであり、こうした人たちに協力金を上乗せすることで役員の人材と報酬の財源を同時に確保できるとした判決でした。
その他、不在区分所有者に対しては下記表のような例がある。
<ポイント>
新たに協力費等を設けるためには総会での普通決議(1/2)以上が必要。協力費がどの会計に入るのかについてなども明確にしておきましょう。
「役員報酬等の支払い」による事例
役員を引き受ける区分所有者と引き受けない区分所有者との労力や負担の不公平感をなくすため、役員報酬を定めている管理組合も少なくない。
平成25年度マンション総合調査における「役員報酬」のアンケート結果(対象2,322管理組合)は次のとおり。
役員報酬が各役員一律の場合の月当りの平均額は2,600円でした。一律でない場合は、理事長…9,200円/月、理事…4,400円/月、監事…4,100円/月という結果です。
理事長の場合、「10,000円超」が22.7 %と最も多く、次いで「2,000円超3,000円以下」が14.2%、「1,000円超2,000円以下」が13.6%でした。(大規模修繕工事新聞 2014-8.5 No.56)