2015年5月、85周年を迎えたシンヨー㈱の創業は、横須賀海軍工廠の諸施設と軍艦の塗装からはじまる。軍艦には「赤城」「陸奥」「長門」など往時の帝国海軍が誇る艦船が名を連ねた。戦後は復興の夜明けとともに日本経済が吹き返し、プラントやタンク等の塗装の需要が急伸。昭和40年代には中東における石油化学プラントの塗装など、シンヨーは海外進出で成長を遂げる。一方、オイルショック、円高などを経て、パラダイム変換の時が迫まってきた昭和60年代、建物のリニューアル等、国内事業へとシフトをチェンジ。今や事業売上の7割を占めるマンションリニューアルのはじまりがこの時期であった。塗装専業会社の先人として歴史を歩んできたシンヨー。昨年、新社長に就任した中尾祐輔氏に現在の会社の取り組みなどについて話を聞いた。
− 新社長に就任されてから1年が経ちました。マンションリニューアル事業にはどのようなイメージを持たれましたか?
私は長くプラント塗装業界にいましたが、事業全体を見渡すようになって、特に建物リニューアル事業に関しては、仕事の進め方など業態が違うと感じました。
基本的にお客様に満足していただける仕事をするというのはどこも共通です。
しかし、エンドユーザーである管理組合と直接お話をさせてもらう、住民が暮らしている中で工事をさせてもらう…プラントは会社同士、または担当者とのお付き合いですから、こうした仕事の環境はありません。
そのためか、リニューアル事業部の作業員のほうが物腰がやわらかで、みんなやさしそうにみえますね(笑)。
−中でもマンションリニューアルで注力している点は?
お客様とのコミュニケーションを深めることです。
マンションリニューアルでは工事をきちんと行うことはもちろんのこと、資金計画と工事の優先順位、工事中の安全や環境、工事後のアフターフォローなどを提案する力が必要だと感じます。通り一辺の工事ではなく、お客様のニーズがどこにあるのかを理解して、すくい上げ、そのニーズを反映した提案力を持つことです。
今年4月から弊社ホームページを刷新しました。特別に大規模修繕工事相談プラザといったサイトを設け、相談先の見つけ方、適正時期と工事内容・種類、建物調査診断、発注時のチェックポイント、セキュリティシステムなどを掲載し、管理組合の方々がひと目でわかるように見やすく作成しています。
−お客様満足度へさらに尽力していることは?
弊社は全国に事業所・支店を配置していますが、これまで工事後のアフターフォローは各店所任せになっていました。そうすると、実施されたかどうかの管理ができません。
アフターフォローをきちんとこなせないようではリピートもありません。
そこで本社にアフターメンテナンス管理室を設置。情報の一元管理を行い、アフターフォローの「漏れ」を起こさないよう体制を整えました。
定期的な点検・修理を行うことで、アフターを充実し、お客様に満足してもらえるよう努めています。
−社内研修などの取り組みはどうですか?
会社はやはり組織力です。個人のスターがいるかいないかで会社の評価を決められるものではありません。
このために必要なのが教育システムです。
年2回、若手や中堅以上などにクラス分けして技術研修会を2日間にかけて行っています。内容は、建設業法や安全衛生教育の知識、品質管理マニュアルの徹底、安全衛生関係提出書類(グリーンファイル)の作成方法など。
危険体感訓練もあり、実際に安全帯を着けて足場を組んだり、専門機関に依頼してCGで視覚的に人が落ちる様子などを体感してもらいます。
何が危険なのか―危険予知ができなければ作業員に対する指示ができません。
研修を繰り返すことで、だれもがどの現場にいってもシンヨーの看板を背負って仕事ができるような体制を構築しています。
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最後に一言お願いします。
弊社の大規模修繕工事のキャッチコピーは「あなたの笑顔を作りたい」です。
長年の実績と経験、技術をもとに、これからも笑顔をいただけるような仕事を提供し続けていきます。
(大規模修繕工事新聞 第65号)