住み継ぎコンサルで、老朽化マンションも活性化へ
―今の改修設計事務所に求められているものは
コンクリートの中性化や塗料の選択についての改修技術はもちろん必要ですが、新築の構造から耐震診断・補強、設備系にも対応できる事務所が求められていると思います。
本当に建物を知っている能力のある人が重要視されるのではないでしょうか。改修だけしかやったことない人は、今後はあまり必要とされなくなるかもしれません。
翔設計では、20年前以上に当社で新築した物件のコンサルを続けています。建物の造り、その後のライフサイクルの中で、どのようなアドバイスができるのか―構造を知っている設計と、改修しか知らない設計とでは技術的なレベル差があると考えます。
―工事による資産価値アップのポイントは
マンションの評価について、(1)耐久性…躯体、外装、内部共用部 (2)安全性…地震安全、避難安全、火災安全、防犯 (3)使用性…外構設備、高齢者対応、電気・ガス設備、給・排水設備 (4)快適性…時代適応、デザイン性、生活環境、立地、の4つに分類し、このマンションには何が必要か住民アンケートなどを交えてデータ化します。
これまでは耐久性や安全性が重要視されてきましたが、昨今はそうしたものよりも、高齢者対応、電気・ガス設備、デザイン性などの付加価値への要望が高くなっている傾向にあるようです。
太陽光、LED、サッシの断熱性などの省エネ改修も当然ニーズが高まっています。
あるマンションでは、若い世代を呼び込めるようエントランスや外壁の色を変え、同時に現住民のためにもと、バリアフリー工事を実施したところ、売却価格が上がった、という例はいくらでもあります。現状を正しく認識し、長所を生かして短所を減らすことが資産価値アップのポイントといえるでしょう。
―築30年を超えるマンションへの提案
当社では「住み継ぎを意識したマンション」への対応にも力を注いでいます。
老朽化したマンションでも建て替えの話の前に、結婚した子どもが親のマンションの別の部屋に住みたいと思わせるような取り組みです。
中古マンションの売買状況をみると、購入者の60%以上が、以前の住まいから近距離の物件を選んでいる結果があります。
親族、友人、近隣住民など、マンションの事情を知っている人が住むことによって、ローカルコミュニケーションを確立することができます。建て替えをしなければスラム化していくと思われたマンションでも「親族、友人近住」という生活価値があれば、そこに人が住み、コミュニティーが存在し、建物のスラム化を防ぐことができます。
これが今後のマンションの資産を考える上での長期的な戦略といえます。当社は、そんな将来も視野に入れてコンサルティングをさせていただいています。
●組織概要
株式会社翔設計
代表取締役 貴船美彦
〒151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-24-15 鈴福ビル
☎03-5410-2525㈹ FAX 03-5410-2560
E-Mail:info@sho-sekkei.co.jp
URL: www. sho-sekkei.co.jp
●主な業務内容
( 1)建築、環境の企画、開発(2)建築計画、設計、監理(3)マンション大規模修繕コンサルティング(4)既存建築物の調査、診断、改修設計、工事監理(5)耐震診断・補強設計(6)建築事業に関するコンサルティング
●社員数
正社員52人
●過去3年間の業務実績
■大規模修繕関係コンサルティング業務
2009年 約4,100戸
2008年 約3,000戸
2007年 約2,200戸
■設備改修関係コンサルティング業務
2009年 約1,150戸
2008年 約 610戸
2007年 約 480戸
(大規模修繕工事新聞 第04号)