駐車場問題は昔からペット、騒音とともにマンションの3大トラブルのひとつといわれています。では、トラブルといわれるにはトラブルの根底に何があるのか。それを知ろうと、前回は駐車場使用料の設定根拠、駐車場収入の使い道についてまとめてみました。
2回目の今回は、トラブルが多い迷惑駐車対策と、防犯対策にスポットをあてます。
マンションでの駐車場トラブルといえば「迷惑駐車」。
迷惑駐車対策としては、パイロンや植木ポッドを置いてスペースをふさぐ、ロボットゲートを設置して契約車両以外入れないようにするなどが考えられます。マンションの敷地は私有地のため、「民事不介入」の原則で警察を頼りにすることはできません。
しかし、私有地ならば家宅侵入罪で訴えることはできないものか―そう考えて、神奈川県警に問い合わせてみたことがあります。結果は「他人の敷地を勝手に使うことは軽犯罪法に触れます」。
つまり、法律上は犯罪として警察に届出ができるということです。居住者であっても敷地が「共有地」のため、外部者と同じ扱いにな
るというのです。
ただし、「起訴になるかどうかは別」とも。「迷惑駐車では程度が軽いから、起訴というのはどうか。実際は難しいのでは」ということでした。
それでも駐車場使用細則等に「迷惑駐車は警察へ届け出る用意がある」といった内容の一文を加えると、少なくとも抑止効果の期待は持てるといえましょう。
迷惑駐車は管理組合の姿勢を明確に表し、小まめに注意していけば自然と減っていきます。迷惑車両に貼るステッカーなどを使って、「うるさい管理組合だ」と思わせることが肝心。
迷惑駐車対策を、管理組合がしっかり活動しているかどうかの「物差し」にしている専門家もいるほどなんです。
㈳日本損害保険協会が2010年3月に結果報告をした2009年度自動車盗難事故実態調査から表①②を抜粋しました。
都道府県別の車上ねらい被害ではワースト10に千葉県、埼玉県、神奈川県が常連です。車両盗難被害では東京も含め、首都圏1都3県がワースト10に入っています。
また、車上ねらいの被害品は「カーナビ」が40%超を占めてダントツ。被害額は平均で23.1万円でした。その他、盗難発生時間帯は「22時~翌9時」が5割以上等の結果が報告されています。
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狙われにくいのは見通しが良く、明るい駐車場だといわれます。警察庁が策定した「安全・安心まちづくり推進要綱」では、駐車スペースは2ルクス以上、車路は10ルクス以上が明るさの基準とされています。
塀などに設置するセンサー警報システムや人が近づくとライトが点灯するセンサー付ライトも、犯罪を未然に防ぐという点で効果があるといえるでしょう。
防犯カメラを単に設置しただけでは、その目的が「事件の早期発見」になりがちです。抑止効果への期待もありますが、実際に防犯カメラの録画を見るときはすでに「事後」になってしまっているときなのです。
防犯カメラを設置する場合は、センサーと連動させて警備会社に連絡するシステムにするなど、「事件の未然防止」を目的にした設置を考えるべきでしょう。
駐車場の規模や形状などを考慮し、専門家のアドバイスなども受けて、犯罪の「未然防止」を目的とした効率の良い防犯器具の選定・設置を心がけてほしいと思います。
2009年度自動車盗難事故実態調査結果報告
<調査の概要>
調査実施団体:㈳日本損害保険協会 調査期間:2009年11月1日~ 11月30日
調査対象会社数:21社(損保協会非会員会社を含む)
調査 対象事案:全国で発生した自動車本体盗難事故および車上ねらい(部品盗難含む)事故で、調査期間内に車両保険金の支払いを行った事案。調
査総数は車両本体の盗難の619件、車上ねらいの調査総数は2,988件
www.sonpo.or.jp/news/fi le/00474.pdf
(大規模修繕工事新聞 第14号)