Q25 居住者名簿の作成、他のマンションは どうしているの?
居住者名簿は個人情報保護法適用外コミュニティー形成考え直す材料に 川崎市のマンション管理組合では、災害などの有事対策を目的に居住者名簿を作成しました。 きっかけは、防火管理者を選任し消防計画の見直しを行ったところ、建物の収容人数(居住者数)を把握しなければならないことがわかったためです。こうした経緯から、災害時の救助、安否確認を目的とした居住者名簿作りを開始しました。 アンケートによる記入内容は、主に部屋番号、居住者家族の氏名、性別、年齢、緊急連絡先です。備考欄として、要介護などの救助判断に必要と思われる事項は任意で記入するようにしています。 名簿の保管は、号室順にファイル綴じにしたものを事務用封筒に入れ封印。封印には、理事長、防火管理者の2人が署名、捺印します。ファイル管理事務上の開封、封印も必ず理事長と防火管理者の2人で行うことになります。 更新は、防火管理者の任期2年に合わせることとしました。災害等、名簿の利用がなければ開封せずに焼却し、新たな名簿を作成します。 閲覧については、防災対策目的なので、一般的な閲覧には一切対応しません。 なお、管理会社保管分は災害等により、管理員室保管分が滅失した場合の予備として別保管してもらうことにしました。管理会社がそれ以外の目的で単独に利用することは認めないという覚書ももらっています。 ◇ マンションの居住者名簿は、まず個人情報保護法の適用外であるという理解の上で話を進めたい案件です。法律うんぬんという話になると、議論がそこで滞ってしまします。 もちろん、個人のプライバシーに関係する場合もありますから、管理組合は法律を意識して取扱細則などを決めて運用する配慮は必要です。 今は防犯・防災面での居住者同士の連携が大切な世の中になってきています。事故が起きれば、そのマンションの評価価値は下がります。 近隣に気づかれなかった孤独死でその後その部屋に買い手がつかなかったなどは典型的な例でしょう。 他の住民のことなど関係ない、何も知らないでは、コミュニティー関係のないマンションとして不動産価値の評価が下がる可能性もあります。 居住者名簿の作成は、災害時の要援護者対策も含め、コミュニティー形成を考え直す材料になるかもしれません。
マンション管理センター 居住者名簿作成に関する冊子作成 要点、細則モデル、法制度まとめ
公益社団法人マンション管理センターでは「マンション管理組合で作成する名簿の取扱いに関する細則について」と題した冊子を販売しています。 内容は・管理組合が作成する名簿に関連する法律等の状況 ・名簿の取扱細則の策定に向けて考慮すべき事項と策定方針 ・名簿取扱細則モデルおよび細則モデルに係るコメントなど。 総会招集等か、コミュニティー形成か、災害対策かなど、利用目的によって細則制定を作成し、整理をしたほうがよいとしています。 (大規模修繕工事新聞 第71号)