知らなきゃ損するマンション管理入門
買ったばかりの中古マンション
管理組合の排水管改修で40万円を負担
マンション改修を手がける設備設計一級建築士に聞いた話です。
築25年の中古マンションを購入したAさん。入居前に内装すべてを行う「スケルトンリフォーム」を行いました。
「スケルトンリフォーム」とは、構造に関わる柱や梁を計算に入れて、間取りを変更するなど、専有部分内を全面的に改修する工法です。
ただしAさんはこのとき水回り設備に関しては一切触れませんでした。
浴室については広くできたことから、既存の排水管の上に新しいユニットバスを設置しました。
「不動産会社も管理組合もリフォームを担当した建築士も、排水管が老朽化していることを教えてくれなかった」とAさんは話しているそうです。
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入居3年後、マンションの各戸で数件、漏水事故が発生し、管理組合は排水管の改修工事を実施することに決めました。
Aさん宅の新しいユニットバスの下にある排水管も更新することになったのです。3年前にリフォームしたばかりのユニットバスを工事のために一旦解体・移動しなければなりません。
Aさんは、この移動費用だけで40万円を自己負担したそうです。お気の毒に…。
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一方、別の築25年のマンションに住むB理事長は、排水管の劣化診断を行い、専有部分には3種類の管材が使われていることを知りました。
これを受けて管材ごとに維持管理方針を理事会で打ち立て、全区分所有者に周知しました。
内容は、①台所の排水横引管は老朽化が激しいためすぐに全戸一斉に交換する②10年後の2022年に共用排水たて管の交換工事を行う③この際にユニットバス横の排水管も同時に更新する④ユニットバス下の排水管は各戸がリフォームする際に必ず更新するようにガイドラインを作成する。
B理事長のマンションに住むCさんは、この管理組合の決定を受け、ユニットバスを更新する際に工事業者にガイドラインを見せて排水管の更新も行ったといいます。そして、この排水管更新にかかった費用は、約1万5,000円だったそうです。
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損をしないための改修計画は、管理組合でできるものです。
専門家のアドバイスを聞いて、ご自分のマンションのあり方を知っておくことも必要でしょう。
(大規模修繕工事新聞 2013-7.5 No.43)