管理組合のニーズにあった改修工事を提案
コンサルも新しいニーズに対応する姿勢が大切
マンションの建物調査や居住者アンケートの結果から、建物の共通の不具合個所を抽出し、それに対応した適切な改修設計を提案し、管理組合に充分理解を得たうえで工事に着手することが大切な手順と考える。
また、通常の修繕周期を引き延ばし、建物のライフサイクルコスト(建物の生涯費用)の低減を図る。あるいは、修繕周期10年〜 15年に実施する修繕費用のピークカット
(平準化)を行い、修繕積立金の確保に余裕を持たせることも提案している。
25年以上のマンションでは長期修繕計画上、特に設備では「更生・補修」、「更新・交換」かの難しい判断が要求される。
設備の場合は、使用している配管材料、配管の経年劣化状態で補修工法を判断することが必要。このため、修繕周期を迎える前に経年劣化状態の詳細な調査費を修繕計画に盛り込む必要もあるといえよう。
これら基本的事項を踏まえて、建物の固有な特性、環境立地、地域特性を十分踏まえて、大規模修繕計画を管理組合とともに立案するのが設計コンサルタントの仕事である。
建物の美観・耐久性を確保し、さらに機能的にも新築時と同等もしくは現在の社会的ニーズに合わせることは、建築の財産価値を高めることにもなる。
最後に3月11日の東日本大震災を契機に、太陽光や風力でつくった電気を電力会社が全て買い取るための「再生エネルギー特別措置法案」が成立した。これに対応して、既存マンションでも屋上への太陽光発電設備の設置が今後増えることが予想される。
マンション改修の設計事務所としても、新しいニーズにどんどん対応していく姿勢が求められると言えるだろう。
(大規模修繕工事新聞 2011-09 No.21)