――リフォームを考えられたきっかけは?
奥様:
築45年の建物ですので、大分前から考えてはいました。決定的だったのは、昨年1月の出来事ですね。
瞬間湯沸かし器から伸びていた配管がポキっと折れて水がブワーっと吹き出してきたんです(笑)。CMみたいな光景を目の当たりにして、家の中の見えない部分が一体どんな状況になっているのかすごく不安になってしまいました。この大事件を機に真剣にリフォームを検討するようになりました。とにかく、水廻りが気になるので、配管や配線などの基礎をき
ちんと直したいと相談したリフォーム会社には伝えました。
ご主人様:
築年数の古い物件ですので、果たしてリフォームできれいに直すことができるのかという不安が実際にはありました。
リフォーム会社:
マンションも人間と同じなんです。築年数が浅ければお化粧だけでキレイにできる場合も多いでしょう。しかし、築年数が30年を超えた物件を今後30年安心して住める状態にするためには傷みやすい水回りや配管、配線などのインフラをきちんと整備しておくことが最優先事項。結果として大きく掛かるリフォーム費用を有効的に使うことにもなります。
リフォーム会社:
リフォームで一番大切なのは、生活価値を上げることです。断熱や生活動線の見直しは重要なポイントですよね。今回施工したS様のマンションは、1棟50戸。間取りはほぼ同じですが温熱環境はそれぞれ
どこに位置するかによって違ってきます。最下階角部屋のS様邸は、外気の影響を受けやすくかなり厳しい状況でしたので外壁面には断熱材をくまなく入れて窓も二重サッシにして改善しています。現在人口が減る中で、古い建物をどう再生し長持ちさせるかが国策としても重要です。そのためには、表層だけのリフォームではなく、生活価値を上げるためにきちんとインフラを整備することが必要になってきますので、どうしても施工範囲が広くなり費用がかかってしまう。その分の補助を国が補填してくれる制度などもぜひ活用することをおすすめします。
―― 住み心地はいかがですか?リフォーム前と変化を
感じますか?
ご主人様:
本当に快適です。違いはすごく実感しますね。クーラーを少しかければすぐに冷えて寒くなるほどよく効きますし、以前は悩みの種だったカビの発生ももちろんありません。マンション自体の大規模修繕もあって、内も外も本当に新築のようになって嬉しいですね。
奥様:
今回のリフォームは非常に満足しています。「今後30年住める家」という方針を自分たちで決めて基礎を徹底的にやったので、本当に安心できました。二重サッシですから、断熱はもちろん、防音効果も!
こんなに違うものかと驚く毎日ですよ。何にも聞こえないから不安になるくらいです(笑)。
――まとめ
築45年のマンションにお住まいのS様。配管類の基礎工事、断熱性能向上を主眼に、スケルトンリフォームを実施されました。住宅・建築物省CO2先導事業のモデルケースとしても認定されたリフォーム工事を施工され、住み心地の良さを実感されているというS様ご夫妻にお話を伺いました。
(大規模修繕工事新聞 第25号)2012-01