マンションクオリティの高さは防災力
工事でもブレない管理組合のコンセプト
2015年6月7日、工事終盤で地元住民が参加した現場見学会を開催。その様子を7月5号(67号)で紹介したが、今回は、工事プラスアルファについて追記する。
ソフィアステイシア管理組合では、過去の修繕履歴を知る歴代理事長全員が委員を務める大規模修繕委員会が中心となって大規模修繕工事を実行させた。
ソフィアステイシア管理組合にとっての第1回大規模修繕工事は、一連の建物改修のほか、全館一斉放送システムの導入、受水槽内へのタンクセイバーの設置、し尿処理能力のある災害対策用簡易トイレやマンホールトイレの購入など、工事においても意識は常に「防災力」に向けられている。
「ソフィアステイシアのマンションクオリティの高さは防災力にあり」―これが常に管理組合の軸であり、工事においても、コミュニティー形成においても、何事にもブレないコンセプトだ。
水道本管からの直結給水化が普及している中で、あえて155トンの受水槽を残す選択をした。それは「水とトイレは最低限、管理組合の義務」という考えがあってのこと。
そこで導入したのが、受水槽を地震被害から守る浮体式波動抑制装置「タンクセイバー『波平さん』」である。
大地震で受水槽が破損するのは、長周期地震動によって容器の中の液体(水)が激しく波打つこと(スロッシング現象)が原因だと言われている。
「波平さん」の設置はタンク内の水に浮かせるだけ。地震で大きく動こうとする流体は「波平さん」を通ることで液面揺動による波高が大きく減衰(1/3以下)し、タンクの損壊を防ぐことができるという。
ソフィアステイシアの住民は約1,000人。1人3リットルとして50日分が確保できる計算だ。
また、防災箱を購入し、津波被害を想定して6F以上の12カ所に設置。防災箱には、発災直後の避難誘導の仕方、初期活動の作業手順を置き、年々避難道具や機材を増やして箱の中身を充実させていくという。
工事期間中の昨年6月、管理規約を改正。規約の目的に「防災・減災に努め居住者の生命と財産を守る」と明記した。発災後の応急復旧費用は大規模修繕会計から支出ができる、災害により緊急の場合は居住者の同意を得ることなく専有部分に立ち入ることができる等、防災に関する具体的な記述を追加するなど、ブレない姿勢はそこにも現れている。
設計・監理者:株式会社 英綜合企画設計
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資本金:1,200万円 //www.hanabusa.e-arc.jp
施工者:建装工業株式会社
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☎06−6821−3611
代表者:高橋修身 創業:1903年(昭和36年)
資本金:3億円 //www.kenso.co.jp
施工者:横須賀管工事協同組合
■本社
〒238−0004 横須賀市小川町25−1
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設立:1951年(昭和26年) 組合員数:36社(平成27年現在)
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(大規模修繕工事新聞 第75号)2016-03-05