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ちょっと気になる会計処理/現金事故を防ぐポイント①

76-27 管理会社では、管理組合財産に対する金銭事故が起きても速やかに対応する内部監査体制制度の強化に努めています。既存の事故を想定した例と、取り組んでいる再発防止策について紹介します。

ケース❶ 会計担当社員の着服事例

【経緯】
管理会社の会計担当社員が、フロント社員から受け取った銀行払戻請求書の金額の数字を改ざんし、余分に引き出して現金を着服した事故例です。
その会計担当社員は、着服を隠ぺいするため、月次決算報告書の数字を改ざんし、さらに改ざんした通帳のコピーと改ざんした銀行残高証明書のコピーを会社と管理組合に提出していました。
コピーのやり方は、まず原本をカラーコピーし、金額の部分を切り抜いて必要金額を改ざんし、さらにそれをカラーコピーしたのです。
会計担当社員は、伝票の起票、銀行窓口での入出金業務、帳簿への記録、月次決算報告書の作成を一人で行うため、着服と隠ぺいが可能となっていました。
上司は、通帳や銀行残高証明書の原本を確認することなく、コピーのみ確認していたようです。
会計担当社員は約10年間、同じ業務を担当していたため、覚知が遅れました。
【再発防止策】
① 会計担当社員が通帳・銀行残高証明書を改ざんできなくするため、決算報告書の口座残高の確認はコピーではなく、通帳原本・原稿残高証明書原本と照合する。
② 会計担当社員が伝票、情報システム上の伝票を自由に修正・削除できなくするため、伝票を連番管理・複写式とするとともに、情報システム上の伝票の修正削除等の履歴を記録する。
③ 会計担当社員による着服と隠ぺいを防止するため、マンション会計業務を職務分離し、上司は会計の記録と請求書、領収書等の原本を照らし合わせ、正確性・網羅性・実存性を確認する。
④定期的な人事ローテーションを行う。
⑤現金の授受については、授受簿等に記録する。

ケース❷ 印鑑、通帳をフロントが保管

【経緯】
フロント社員が親切を装い、理事長から管理組合名義の保管口座の印鑑と通帳を預かり、保管口座から現金を引き出して現金を着服した事故例です。
そのフロント社員は、着服を隠ぺいするため、社内のマンション会計部に金額を改ざんした通帳と銀行残高証明書のコピーを提出していました。
マンション会計部は、通帳と銀行残高証明書の原本を確認することなく、コピーを確認するだけでした。
そのフロント社員は、同じ物件を長期間担当し、管理組合や会社から信頼を得て、理事会とのやり取りを一人で行うために覚知が遅れました。
【再発防止策】
① 管理組合が保管する通帳・印鑑等の保管状況を管理組合と共同で確認し、「通帳・印鑑等の保管台帳」等で確認する。
② フロント社員が通帳と銀行残高証明書を改ざんできなくするため、マンション会計部は、銀行口座の残高を銀行残高証明書のコピーではなく、銀行残高証明書原本で確認する。
③ 銀行残高証明書は、銀行から直接理事長またはマンション会計部に送付する。
④ 理事会へは担当フロント社員だけでなく、年に数回、複数人で出席する。
⑤ フロント社員が保管口座の理事長印を保管することを全面禁止しとし、押印代行行為、予備の払戻請求書への押印の禁止を業務手順書に追加する。

ケース❸ 印鑑、通帳をフロントが保管

【経緯】
フロント社員が理事長の交代時、管理組合の理事長印を一時的に預かり、現金支払指示書(架空の組合発注工事代金を請求)、銀行の払戻請求書を偽造し、支払い手続きを行い、マンション会計部から受領した現金を着服した例です。
そのフロント社員は、過去の実際の請求書をカラーコピーし、工事内容や金額を改ざんして、架空の請求書を作成。また、着服を隠ぺいするため、会社向けと管理組合向けの2種類の月次決算報告書を作成し、それぞれ提出していました。
【再発防止策】
ケース❷の再発防止に加えて
① マンション会計部は支払いの際、請求書、領収書、工事完了確認書原本を確認する。
② 工事代金の支払いは振り込みとし、現金での支払いは認めない。
③ マンション会計部は、月次決算報告書を理事長に直接郵送する。
(大規模修繕工事新聞 第76号)


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