地震保険料の改定
火災保険に付帯することができる地震保険について、 2017年1 月1日以降の契約から全国平均で大きく引き上げられます。この改定は第1弾で、 19年、21 年と3段階の実施となり、東京・神奈川は最終的に 39%の値上げとなる予定です。
第1弾となる今回の改定後の保険料は東京都・神奈川県・千葉県が11.4% アップ、埼玉県が14.7%アップ。関西圏では大阪府 2.9%減、京都府・兵庫県3.6% 減、滋賀県4.6%増などとなります。
地震保険は法律(地震保険に関する法律)に基づいて、政府と損害保険会社が共同で運営している制度です。全国的に値上げをする理由は、政府機関が作成する地震の研究データの見直しによるものです。支払い保険金と 、保険料や官民責任額(準備金)とのバランスから本格的な改定に踏み切ったとみられます。
地震保険は主要構造部の損害に対して保険金が支払われるもので、門、塀、エレベーター、給排水設備のみの損害など、主要構造部に該当しない部分のみの損害は補償されません。
とはいえ、 地震保険の保険金を復旧費用に充当している被災マンションは数多くあります。設備等に損害がある場合、多くは主要構造部にも損害があるのです。受け取った保険金は主要構造部に限らず、管理組合の方針で使い道を決めることができます。
復旧の元手があれば、合意形成も取りやすいとも言えます。地震保険に加入するかどうかは管理組合で検討し、大震災後にもめることのないよう、その結果を総会議事録などに残しておくことが大切です。
補償内容の改定(損害区分の細分化)
これまでの地震保険は 、保険の対象に生じた損害の程度に応じて、「全損」「半損」「一部損」(受け取れる保険金はそれぞれ 100%、50% 、5%) の3つの損害区分でしたが、 2017年1 月1日以降の契約からは「半損」 (50%) を分割して保険金額の60%を受け取れる「大半損」、 30%を受け取れる「小半損」とし、4 つの損害区分となります。
損害査定により保険金の受け取りに大きな差がつくことへの不満解消に向け、保険金支払い割合の差を縮小させることが目的としています。
マンションでは 「全損」 判定はあまり見られませんが、半損か一部損では大きな金額差が生じます。「半損」 を「大半損」と「小半損」に細分化することで保険金が受け取りやすくなれば契約者にとって好材料といえましょう。
(大規模修繕工事新聞 第82号)
熊本地震で被害を受けたマンション