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消防設備点検・排水管清掃 全戸100%実施にするには… (マンション管理士 大松健三)

排水管清掃は漏水事故や排水のつまり、悪臭といったトラブルを防ぐためにも未実施の住戸をつくりたくない

専有部分内の消防設備点検・排水管清掃は、建物全体の維持管理のため、全戸(100%)実施が大前提です。とはいえ、各戸の管理意識のレベル差や諸事情によって立ち会えないことから、全戸実施することが困難であるマンションは少なくありません。
さらに賃貸されている場合には賃借人の立ち会い協力が得られにくく、多くの管理組合ではその対応に頭を悩ませているようです。
ここでは居住者とトラブルを起こさないで消防設備点検・排水管清掃の全戸実施を実現している管理組合の事例を紹介いたします。

 

■事例マンション


築35年・SRC造・8階建て・112戸(ファミリータイプ32戸・ワンルーム80戸)
※ワンルームは主に投資用で、賃貸住戸は70戸に上る。独身賃借人が多く、入退去も多いため、マンション全体の管理が実施しにくくなるところ、以下の要領で消防設備点検・排水管清掃を含む工事・点検を全室実施している。

(1)消防設備点検・排水管清掃の内容や必要性を認識させる
未実施による事故発生時の損害対応の大きさ(消防点検報告書への記載、漏水事故時の費用負担の周知など)
(2)管理規約への規定・不在時の対応
管理を行うために必要な範囲内での立ち入り請求など、「全戸実施」がマンションのルールだということを啓蒙する
(3)その他
①年間行事として定期化
 「消防設備点検は4月、10月の第3土曜日」を徹底…この日だけは在室!
②1カ月以上前の全戸アナウンス
 ローテション勤務・シフト勤務者への早めの実施日告知による立ち会い調整
③注意喚起の絵入りポスター
 エントランス掲示板だけでなく、2カ所の裏玄関とエレベーター内
④回答書兼入室許可書(在・不在/不在時入居許可)の完全取得
 不在者から入室許可書を事前に入手するとともに、未回答者への徹底フォロー
⑤理事によるマスターキー解錠と立ち会い
 業者任せにしない(マスターキー取り扱い細則とキーの管理)

 事例管理組合ではこの方式を日頃から徹底しているため、4年前の「玄関扉改修工事」、2年前の「窓改修工事」も計画通り、全戸完了することができました。

(大規模修繕工事新聞 第83号)