Q49 団地再生、管理組合が取り組めるアイデアは?
マンションや団地の区分所有者は、共用部分や建物敷地が共有であるため、いちいち共同決定を必要とし、自らの思い通りにはならないという面があります。
近年、高齢者が亡くなったり、賃貸に出しても借り手がいなかったり、そうしたことから空き住戸が目立ちはじめています。特に郊外の団地では空き住戸が早々埋まることが難しい状況です。
「団地再生」というワードが行政の取り組みとして聞こえてきますが、建物維持管理や建替え以外で、管理組合側が取り組めるアイデアを教えてください。
ベストアンサーに選ばれた回答
管理組合ができる生活サービス
今こそ「積極的・経営的管理」へ
マンションや団地は戸建てと異なり、共用部分や共有の敷地があります。そこでマンションや団地の利点を生かすための管理組合の試みとして、①高齢者を含めた区分所有者全体の活用②高齢者等に対する生活上のサービスの支援などができないかを考えてみます。
【例1:資金獲得業務(共用部分・共有敷地の賃貸経営)】
建物の共用部分を区分所有者以外の者(第三者)に使用させて使用料を徴収したり、共有の敷地の一部を駐車場等として区分所有者以外の者に賃貸して賃料を徴収する。
【例2:共益的活用業務(福祉施設等への賃貸)】
建物の共用部分(集会室等)を、第三者が福祉施設等に変更して区分所有者の利益にもなるような福祉事業等を行うために賃貸する。
※例1との違いは、賃貸の主目的が資金の獲得ではなく、賃借人の行う事業により区分所有者が利益を受けるところ。
【例3:生活サービス業務】
①空き住戸の賃貸借の取り次ぎ
空き住戸の放置は防犯上、管理費等の滞納関係、役員のなり手不足等、好ましいものではない。そこで管理組合が当該区分所有者から委託を受けて、他の区分所有者(親族を含む)への賃貸借を「取り次ぐ」業務を行う。
取り次ぎは掲示板や広報誌等に賃貸したい旨を掲示することを承認するなど。宅建業法等との関係もあり、あくまで管理組合は賃貸借契約のきっかけを提供するにすぎない。
ただ、顔見知りに貸せたり、親族のために借りられたりができるため、賃貸借人双方の希望がかなう割合は高くなり、マンションコミュニティの活性化にもつながる。
②空き住戸の規約共用部分化
管理組合が空き住戸を取得し、規約共用部分とした上で、共用施設(談話室・ゲストルーム等)として利用する。区分所有者の相続問題等をきっかけに空き住戸を管理組合が無償で取得できる場面も考えられるため、このような窓口を開き、このような業務を展開できる態勢を整えておくことは双方にとって有意義である。
③生活支援サービス事業の取り次ぎ
(ア)一人暮らしの高齢者等のための見守り・配食・清掃・買い物等のサービス事業(イ)子育て・日常家事(ベビーシッターの派遣、学童やペットの預かり、空き住戸の管理、リフォーム)等の生活支援サービス事業(ウ)自動車等のレンタルサービス事業等の取り次ぎを行う。
管理組合の役割は区分所有者間の取り次ぎとなる。管理組合が窓口となることによってサービス提供会社は一定数の顧客をまとまって獲得できることからスケールメリットを受ける可能性がある。
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以上のような管理組合の取り組みは、「積極的・経営的管理」と捉えられます。管理会社にお任せの「消極的管理」の反対語です。
高齢化社会が到来している現在、管理組合が主導する「積極的・経営的管理」への取り組みは今こそはじめなければならない問題といえます。
<参考>
『新・マンション管理の実務と法律』日本加除出版発行
(大規模修繕工事新聞 第95号)