第23回R&R建築再生展2018が5月30日から3日間、東京ビッグサイト東1ホールで開かれました。出展規模は113社・団体、パネル展示29団体、413小間。来場者は3日間で約3万6,573人を数えました。
建築再生展の中に設けられた出展ブースには、「マンション改修村」「マンション大規模修繕ゾーン」等で弊紙関係企業が参加しました。
また、期間中は建築再生技術セミナーとして、「21世紀のマンション大規模修繕工事」「超高層マンションの改修(事例)共用部・外装」「高齢者社会を成熟社会に変えるまちづくり(高齢化社会の視点から)」など、3日間で15講演が行われました。
その中から、「マンション共用施設再生の要点―経営的視点による駐車施設の見直し」と題した講演の一部を採録します。
建築再生技術セミナー
「マンション共用施設再生の要点―経営的視点による駐車施設の見直し」
講師:奥茂謙仁氏(㈱市浦ハウズイング&プランニング常務取締役)
■マンションデータ
建物概要/2005年(平成17年)竣工・RC造22階建て・151戸
駐車場/住棟中央部(1階~12階)に機械式駐車場・41台
所在地/東京都港区
空き駐車場問題で赤字に転落
積極的な管理組合運営で経営改善
新築時に整備された41台の駐車場使用料は45,000円/月(近隣相場40,000円~50,000円)で、当初から空きが増え始めました。
翌年、サブリース事業者に未使用駐車場24台を33,500円/月で契約するも、事業は立ち行かず2年で解約することになりました。サブリースにより、全台数分の事業課税がかかることにもなったのです。
事業解約はしたものの、空き駐車場問題は未解決なままです。機械式駐車場の維持管理費が賄えなくなり、修繕積立金から取り崩すなど、赤字経営に転落してしまいました。
そこで問題解決への具体的検討を行いましたが、有効な手立てが見つかりません。
・外部ユーザーへの貸し出し・時間貸し⇒管理が難しく、集金のための経費がかかる(事業課税への支払い含む)✖
・カーシェアリング・ステーション⇒住棟内駐車場のため不可能(事業課税への支払い含む)✖
・駐輪場としての活用⇒改造費のもとをとることができない✖
・新たなサブリース会社の活用⇒使用料設定が安くてとることができない✖
・駐車場を撤去し、トランクルーム等への転用⇒付置義務違反、容積率違反✖
・駐車場の休止⇒維持管理費は不要となるが駐車場収入が減✖
結果的に駐車場使用料を28,000円/月に下げ、外部からの駐車場利用を募集。運営は外部に任せず、納税を含め、管理組合が実施することにしました。
管理組合が積極的に管理運営することで2014年~2017年の状況は41台満車(入居者利用6台、外部利用者35台)で、常に5台待ちの状況をつくることができました。
満車になることで収支も劇的に改善し、月額約90万円を駐車場修繕費として積み立てています。
最新工法・製品を展示
会場にはマンション改修に必要な諸々の最新工法・製品を展示するブースも多数展示。弊紙に関わりのある企業では、㈱神奈川建物リサーチ・センター、化研マテリアル㈱、コニシ㈱、㈱ダイフレックス、田島ルーフィング㈱、㈱T.D.S、㈱ティー・エス・ケー、㈱東京建物リサーチ・センター、日本ビソー㈱、関西ペイント販売㈱、㈱スターテック、タキロンマテックス㈱、リノ・ハピア㈱等の企業が出展参加していました。
(大規模修繕工事新聞 103号)
大規模修繕工事に必要な調査・診断、改修設計、工事監理、長期修繕計画等を受注する㈱東京建物リサーチ・センター、㈱神奈川建物リサーチ・センター(共同出展)
大規模修繕工事のコンサルティング業務ならびに耐震診断、耐震補強設計業務を行う独立系の一級建築士事務所の㈱T.D.S
足場ゴンドラの日本ビソー㈱は、大規模修繕工事で多く採用されているSSPシステムのモックアップ(模型)を展示