日本初の民間分譲マンションである四谷コーポラス (1956年竣工・28戸)が2017年、建替えが決まり、解体 されることとなった。このマンションの歴史とともに、今 ある多くのマンションの将来を見て取れるといえる一冊で ある。
(1)区分所有法制定前に行われていた所有関係の整理
(2)今では当たり前の管理組合の立ち上げ、管理規約の 作成
(3)専有部分と共用部分の概念の設定
(4)全員同 意による建替え…どれをとっても現在のマンションの参考 となる先輩マンションの生き様が見て取れる。
模索しながら作り上げられた管理方式が、その後のマン ション管理のスタンダードを形作っていたといっても過言 ではない。インタビューでは住民、分譲会社(管理会社)、 建設会社等から、分譲当時の話も満載されている。
竣工当時のパンフレット写真、解体前の取り下ろしの写 真等も収録されており、記録書としても価値が高いといえ る。 竣工後60年、建替え完了とともにマ ンション再生の未来にも期待したい。
(大規模修繕工事新聞 No.105)
『四谷コーポラス 日本初の 民間分譲マンション1956-2017』
編者/志岐祐一、松本真澄、大月敏雄
発行/四谷コーポラス建替え推進委員会
発売/鹿島出版社
A4判209ページ・定価1800円+税
2018年7月5日発売
ISBN-13: 978-4306085633