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マンションと成年後見制度/拡大する認知症問題と滞納問題

 成年後見制度は認知症、知的・精神障がいなど判断能力が不 十分な人を支援する制度です。
 認知症と思われるマンション住民に対して、本人に親族がい る場合は、まず親族に連絡して、対処を依頼する方法が最初の 対応として多く取られていますが、単身で親族がいない、もし くは親族の連絡先がわからないことも多く、手詰まりとなる ケースがあります。
 また、親族に連絡がついたとしても対処に非協力であること も多いようです。
 拡大する孤立した認知症高齢者が今後のマンション問題とし て捉えらています。
認知症高齢者の対応はだれがするか
 管理費等の滞納のほか、区分所有法による共同の利益に反す るような行動(暴言を吐きながら徘徊したり、ゴミ屋敷化など) がある場合は、当事者である管理組合が解決しなければならな い問題となります。
 管理会社に頼ったところで、「認知症高齢者への対応にフロ ントマンや管理員等の現場職員がかかりきりになると、現場の 業務にかなり支障が出てくる」という回答が返ってくると想定 されます。
 さらに後見人は親族に限られ、自治会や管理組合が後見人と して申し立てをすることはできません。とはいえ、独居の認知症高齢者が増える中、親族が見当たらないというケースも増え ています。
【事例】
 5年の管理費等の滞納により、管理組合が訴訟を提起。59 条競売による強制執行で居室、家財を差し押さえられた人の ケースです。
 後にこの人は認知症だったことがわかり、裁判後に施設に入 ることになりました。この人は別にもマンションを所有してい ましたが、管理費等の支払いをせずに寄付や物品の購入契約な どを繰り返していたようです。
 そもそも成年後見制度を利用していたら、管理費等の滞納も、 そして管理組合として強制執行の裁判を起こす必要もなかった かもしれません。
◇  
 マンションにおいてはどのような対策が今後必要になるの か、将来的な課題といえそうです。
 まずは情報の収集からはじめることが肝心だと考えられま す。自治会が対応するのか、管理組合がやるのかではなく、住 民同士の共通の課題として捉えていく必要があるでしょう。  ●相談先:一般社団法人コスモス成年後見サポートセンター       
〒105−0001東京都港区虎ノ門4−1−28             
虎ノ門タワーズオフィス10F       
//www.cosmos-sc.or.jp

(大規模修繕工事新聞 101号)