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大規模修繕工事新聞2025年7月 第187号

令和7年マンション関係法改正が成立/改正区分所有法は来年4月1日施行

 令和7年マンション関係法改正(区分所有法、マンション管理適正化法、マンション建替え円滑化法等)が5月23日に参院で可決・成立し、同月30日に公布されました。

 

●施行スケジュール
①区分所有法および区分所有法に関連する改正/令和8年4月1日施行
②自治体の対応が必要な管理計画認定制度の新築への拡大/令和9年4月1日施行予定(公布後2年以内の施行)
③危険な状態のマンションへの自治体の権限強化と管理支援団体の登録制度/令和7年末までに施行予定(公布後6カ月以内の施行)

1.管理の円滑化等【施行日:令和8年4月1日】
※管理計画認定の拡充については、【施行日:公布日から2年以内】
①適正な管理を促す仕組みの充実
・新築時から適切な管理や修繕が行われるよう、分譲事業者が管理計画を作成し、管理組合に引き継ぐ仕組み(分譲事業者と管理組合で共同変更)を導入
・管理業者が管理組合の管理者(代表者)を兼ね工事等受発注者となる場合、利益相反の懸念があるため、自己取引等につき区分所有者への事前説明を義務化
②集会の決議の円滑化
・区分所有権の処分を伴わない事項(修繕等)の決議は、集会出席者の多数決による(現行:全区分所有者の多数)
・裁判所が認定した所在不明者を全ての決議の母数から除外する制度を創設
③マンション等に特化した財産管理制度
・管理不全の専有部分・共用部分等を裁判所が選任する管理人に管理させる制度を創設


2.再生の円滑化等【施行日:令和8年4月1日】
①新たな再生手法の創設
・建物・敷地の一括売却、一棟リノベーション、建物の取壊し等を、建替えと同様に、多数決決議(4/5※)により可能とする
※耐震性不足等の場合:3/4、政令指定災害による被災の場合:2/3
・上記決議に対応した事業手続等を整備
※組合設立、権利変換計画、分配金取得計画等
②多様なニーズに対応した建替え等の推進
・隣接地や底地の所有権等について、建替え等の後のマンションの区分所有権に変換することを可能に

※容積確保のための隣接地等の取込みに係る合意形成の促進
・耐震性不足等で建替え等をする場合、容積率のほか、特定行政庁の許可による高さ制限の特例


3.地方公共団体の取組の充実【施行日:公布日から6月以内】
①危険なマンションへの勧告等
・外壁剥落等の危険な状態にあるマンションに対する報告徴収、助言指導・勧告、あっせん等を措置
②民間団体との連携強化
・区分所有者の意向把握、合意形成の支援等の取組を行う民間団体の登録制度を創設
<資料>
国土交通省
マンションの管理・再生の円滑化等のための改正法
【令和7年5月30日公布】
//www.mlit.go.jp/report/press/content/001893859.pdf

 

 


 

国土交通省、標準管理規約見直し検討を開始/8月上旬パブコメ実施、9月中旬改正規約公表

マンション関係法改正に伴い、国土交通省では「令和7年マンション関係法改正を受けたマンション標準管理規約の見直しに向けた検討会(仮)」を設置し、検討を行うことになりました。

●主な検討事項
①区分所有法改正に伴う議決権割合の変更内容
②マンションの特化した財産管理制度の活用に関する規定方法
③共用部分に生じた瑕疵に関する損害賠償請求権の代理行使に関する規定方法
④その他社会情勢の変化等に応じて行う見直しの内容 等

 

●スケジュール
第1回会合/6月27日(論点提示・討議)
第2回会合/8月8日 (討議)
<8月上旬~9月上旬 パブリックコメント>
第3回会合/9月2日 (討議終結)
9月中旬 改正標準管理規約公表

第75回管理組合オンライン・セミナー採録・第1部『AI認定コンサルの役割』

一般社団法人全国建物調査診断センターが主催する管理組合オンライン・セミナーを採録します。
第75回は全建センターの提供サービス『マンションAI』をメインテーマに、第1部では『AI認定コンサルの役割』について、全建センター・佐藤成幸筆頭理事が説明を行いました。
視聴動画は下記URLよりVimeoとYouTubeで公開しています。
//zenken-center.com/75sm


<第1部の要約>
○テーマ:『AI認定コンサルの役割』
○講師:佐藤成幸・全建センター筆頭理事
(マンション管理士、一級建築施工管理技士)


全建センターの『マンションAI』とはどういうものなのか。使用方法について解説していきたいと思います。まずは使ってみてください。
全建センターのホームページ『全建library』にアクセスをしていただきます。『マンションAI』と書かれたバナーがあります。ここをクリックすると、AIのチャットのページが開きます。
ページの下側に「どのような困り方がありますか」とAIから尋ねられますので、ここに悩みや問題点を文字入力します。すると、数十秒後に、AIからの解答が返ってくるということになります。


1.大規模修繕工事とマンションAI
試しに、「大規模修繕工事を談合させずに正しく進める方法は?」と入れてみました。
そうすると、以下のような解答が得られました。
「大規模修繕工事を談合せずに正しく進めるためには以下の手順やポイントを押さえることが重要です」

さらに、具体的な進め方が一つひとつ出てきます。
1 調査診断による現状把握
2 コンサルタントの選定
3 施工会社の選定
4 総会で承認
5 工事契約の締結
6 工事進捗の管理
7 工事竣工と引き渡し
8 アフターサービスと瑕疵対応
調査診断については、その目的、方法、注意点といった話が出てきます。コンサルタントの選定も目的、選定基準、セカンドオピニオンに関する説明が行われます。
施工会社の選定では、「公募や入札方式を採用して透明性を確保する」「会社規模や実績、技術力などを総合的に評価する」「特定の会社に偏らないよう複数の候補から慎重に選ぶ」などといった方法、選定基準、注意点が具体的に書かれています。
さらに、4総会での承認、5工事契約、6工事進捗等についての管理・・・8アフターサービスなど、一連の流れが言及されて出でてきます。
最初に「大規模修繕工事を談合させずに正しく進める方法は?」と一言聞いただけで、一連の流れとして『マンションAI』は教えてくれるという機能が定まっているのです。



ところで、『マンションAI』の解答はこれで分かったんだけど、さて、自分のマンションに置き換えた場合、具体的に何をしたらいいのか?という声も多数寄せられています。

【声の例】
1.調査診断による現状把握:調査診断を行う会社はどうしたら見つかるのか?
2.コンサルタントの選定:信頼できるコンサルタントはどうしたら見つかるのか?
3.セカンドオピニオンの活用をしたいが、どうしたら見つかるのか?
4.施工会社の選定基準が必要なことは分かったが、自分のマンション規模での正しい基準はどのくらいか?
5.見積の比較分析が必要なことは分かったが、そもそも何と何を比較したらよいのか、比較して正しいのか間違いなのかわからない
6.総会で質問攻めにあったらどうしたら良いのか、つるし上げや糾弾されたらどうしたらよいのか?
7.マンションAIの言うとおりに進めて問題が発生したときには、AIは責任を取ってくれるのか?

これらの声は、管理組合のパートナーとしてプロのコンサルタントがいたら、全部解決していた問題なんです。
ところが、今のこの時代、普通のコンサルタントはなかなか信用できない時代です。
『マンションAI』を利用しながら、本当に真に信用できるコンサルタントはどこにいるでしょうか。


2.真のプロコンサルタントの力とは

私どもでもいろいろ考えさせていただいた中で、一つのご提案をご用意しました。
『マンションAI』が導き出した真の「プ口中のプロのコンサルタント会社」を紹介させていただこうということです。
『マンションAI』が出した解答に沿って、そのマンションにフィッティングするように翻訳、助言してくれる真のプロのコンサルタントを紹介してはどうかという仕組み、スキームを考案しました。
どういうことかというと、今の時代、施工会社の談合報道を受けて様々な情報が飛び交っています。インターネットで調べでも、口コミも含めて、実際のところは真偽不明の情報です。
しかし、あたかもそれが真実かのように信じ込んでしまうというバイアスがかかってしまう現実があります。真偽不明の情報にかき乱される典型的な例に陥っている方も多く、果ては「施工会社は、コンサルタントは悪だ」と決めつけたりするような状態になっています。利益誘導も含めて、業界で問題が起こっていることは事実です。
ただ、こうした混乱に乗じて、「自らこそが正義です」という自称で名乗るコンサルタントが登場してきたり、「うちは談合してませんよ」と言って、自ら正義を名乗る業者も出てきたり。果ては、管理組合の乗っ取る「なりすまし」理事も出てきているという事態になってきています。
情報がありすぎて振り回されている管理組合の姿がここから見えてきます。真に正しいことは何なのかということの見極めができないのだと推察されます。
談合問題については、公正取引委員会をはじめ当事者しか知らないはずなのに、デマや憶測、混乱に乗じたエセ営業、誹謗中傷など、本質的な真実はほど遠いということに皆さん方踊らされているだけです。
今管理組合すべきことは、冷静に落ち着いて、当局からの真実の公表を待つこと。こうしたものが実は今一番必要なんです。


3.トータルマネジメント方式と真のプロコンサルタント
私どもがご紹介させていただくプロ中のプロのコンサルタントは、こうしたデマや余計な情報に振り回されないよう、管理組合に冷静さを促すものです。
では、具体的にどういった方式において、このプロのコンサルタントが生かされることができるのでしょうか。

これまで、全建センターでは、管理組合の有益になるような仕組み、情報、大規模修繕工事への取り組み方スキームを提案してきましたが、その一つである「トータルマネジメント方式」。これが真のプロコンサルタントと非常にシナジー効果が高いのではないかと考えられます。
「トータルマネジメント方式」は、一般的な大規模修繕工事の際に設計事務所が主体となって実施する「建物調査」→「改修設計」→「施工者選定」→「工事監理」の行為を主体者としての立場では実施せずに、同等の行為を施工者に全て実施させる方法です。
そして、プロジェクト全般を管理することで、より管理組合の利益保護を図ろう、という考え方に立ちます。
真ん中に管理組合を置き、施工会社をトータルマネジメント方式ではパートナー施工会社と呼び、1ランク上の信頼性を求めることになりますけれども、そこに対してプロジェクトマネジャーを配置することにより、まして管理組合のプロジェクトの進捗を図っていくと、このようなやり方になります。

 

このプロジェクトマネジャーというのが、AIが導き出した様々な進め方に対して、管理組合にメリットを増大させる真のプロのコンサルタントとなります。
プロ中のプロのコンサルタントを配置することによって、トータルマネジメント方式をスムーズに進めることができるのです。
トータルマネジメント方式の概要は、過去、何度も説明していますので、全建libraryにおけるセミナーのアーカイブ等で検索してください。
簡単に言いますと、工事の発注方式において、プロジェクトマネジャーを配置することで、パートナー施工会社等から提出される調査診断や工事範囲と仕様・工法の提案、工事見積書等を、プロジェクトマネジャーが管理組合の目となってチェックする仕組みです。
多くの管理組合では昨今、工事予算が非常に厳しく限られているというのが現状です。その限られた予算の中で、いかに必要な工事をより良くやるか。これはやはり、施工会社の目線ではなく、管理組合の目線に立ったプロが「省くものは省く、いらないものは除外する」「予算を割くべきところは割いて良い工事をする」といった、メリハリを効かせた提案する。ここが実にプロジェクトマネジャーの腕の見せ所となりまして、真のプロフェッショナル中のプロのコンサルタントであればこそ、管理組合側に立った仕分けができると、このように考えています。
工事の実施に関しては、パートナー施工会社の管理体制が合理的にできているかというところをチェックしていきます。
これも簡単に言うと、施工会社本位の経済的合理性に基づいた検査体制と、管理組合が求めたい品質に到達するための施工会社の検査体制というのは異なります。
このため、管理組合がこれだけの品質が欲しいと言っているので、施工会社はこの品質に到達する検査をしなさい、とプロジェクトマネジャーが指示、指導するわけです。
その他、プロジェクトマネジャーの役割として、全体的な予算管理とスケジュール管理が非常に重要なところになります。

①予算管理
・パートナー施工会社による建物調査診断から工事施工までに関わる総額の工事予算に関して、合理的かつ妥当な上限を設定しその枠を有効に使用できるように全体を通して予算書を作成して机上で管理を行う。


②スケジュール管理
・初期作業のパートナー施工会社選定作業から工事完了までのマスタースケジュールを作成し管理運営する。
・パートナー施工会社選定段階、調査診断段階、改修設計検討段階、工事実施段階の各段階のスケジュールを組み立て管理運営する。

 繰り返しになりますが、トータルマネジメント方式と『マンションAI』が導き出したプロのコンサルタントというのは、非常に相性が良く、シナジー効果が高いということで、管理組合の検討のスキームの選択肢の一つとして、提案させていただきます。
『マンションAI』はやはり、これからの時代としては欠かすことのできないものと考えられます。
ただし、このAIが導き出した正解と、そして管理組合の実情をつなぐ通訳や翻訳者は必要です。それこそが、全建センターが紹介できるプロ中のプロコンサルタントである、と認識しています。
このため、当面は『マンションAI』とプロ中のプロコンサルタントはセットでお考えいただくことにより、管理組合のメリットが増大するという認識を持っていただけなかろうかと思います。

そのような認識の下、まずは皆さん、ぜひ全建libraryの『マンションAI』をクリックしていただいて、素朴な疑問も含め、マンションのお悩みを聞いていただき、出てきた答えに合わせて、プロ中のプロコンサルタントの使用が必要かどうか、こうした段階までこれを機会にご検討いただければ、と考えております。

国土交通省総合政策局・建設経済統計調査室は6月13日、建築物リフォーム・リニューアル調査を実施し、第1から第4四半期までの受注分について令和6年度計としてまとめ、発表しました。調査対象は建設業許可業者5,000社です。

令和6年度の「住宅合計」のリフォーム・リニューアル受注高は4兆1,318億円で、前年度比3.3%減少し、管理組合発注の受注高は7,350億円で同3.1%増加しました。
管理組合発注の工事種類別受注高をみると、「住宅」の「改装・改修」は6,547億円で4.9%増加。「非住宅」では505億円で22.1%減少でした。
用途、構造別受注高は、「共用部分」の項目で「コンクリート系構造」が8,806億円で8.3%増加、「鉄骨造」が469億円で13.4%増加しました。
年度別の受注高の推移を棒グラフでみると、令和2年度を底値に年々受注高がアップしています。
しかし、今年3月の「談合」報道により、自粛している企業もあるため、令和7年度上半期の「管理組合発注」の数字は減少するかもしれません。

(表1)「住宅」の受注高の推移
(表2)管理組合発注の工事種類別受注高
(表3)用途、構造別受注高
(グラフ)受注高の推移
公表資料はこちらから⇒
//www.mlit.go.jp/report/press/joho04_hh_001305.html

住まい・建築・不動産の総合展[BREX] 2025

 住まい・建築・不動産の総合展実行委員会は6月4日(水)~6日(金)の3日間、東京ビッグサイト東1~3ホールで住まい・建築・不動産の総合展[BREX] 2025、マンション管理組合サポート展2025を開催しました。
出展企業はマンション管理DXサービス、共用部分デジタルサイネージ、EV・EV充電設備、宅配ボックス、機械式駐車場・自転車ラックなどの製品・サービスを展示・紹介が行われていました。
また、大規模修繕工事や設備改修工事、管洗浄の工法、ドローン点検サービス、仮設ゴンドラの展示もありました。

展示場入口

排水管洗浄工法の実演風景

外断熱改修の出展ブース

足場ゴンドラを体感

東京都のマンション防災関連施策「東京とどまるマンション」の紹介

東京はマンションの数が多く、しかもタワーマンションが増える傾向にあるため、最新の被害想定の上、マンション防災という課題が顕在化している状況になっています。
そこで、一定の災害の対応や準備をされているマンションを登録・公表する制度を創設しました。以前は、LCP住宅という名前でしたが、皆さんが使いやすく、親しみを持てるように「東京とどまるマンション」という名称に変更しました。
災害時に、救援物資が供給されるまでの間、マンションでの生活を継続するためには、日頃からの防災訓練、備蓄等の備えが重要です。
以下、登録の条件、支援制度等を紹介します。


1.登録要件

●ハード対策
停電時でも、水の供給及び1基以上のエレベーターの運転を同時もしくは交互に行える電力供給可能な非常用電源設備が設置されていること
●ソフト対策
<必須事項> 防災マニュアルを策定していること
<選択事項> 年1回以上の防災訓練の実施、3日分程度の飲料水・食料の備蓄、応急用資器材の確保、災害時の連絡体制の整備にうちいずれか一つに取り組んでいること
※耐震性を有していることを前提に、ハード対策のみ、ソフト対策のみで登録可能

耐震性を有していれば、ハード対策のみでも、ソフト対策のみでも登録可能なんですけれども、1つ星、2つ星、3つ星と、3段階の☆印により、防災対応力を段階的にランク分けしています。

2.登録の段階表示

(1つ星)
・ソフト対策の登録
・ハード対策(稼働計画日数3日未満)の登録
(2つ星)
・ハード対策(稼働計画日数3日以上)の登録
・ハード対策(稼働計画日数3日未満)とソフト対策を両方登録
(3つ星)
・ハード対策(稼働計画日数3日以上)とソフト対策を両方登録

令和7年3月末現在、東京とどまるマンションへの登録は626件約9万7千戸。令和2年度以降、急激に増えていますが、ただ、ソフト対策だけのマンションが大半を占めており、
1つ星が大半というのが現状です。
とはいえ、なぜ急に登録数が増えたのかというと、東京とどまるマンション制度には東京都からさまざまな支援が受けられるメリットがあるからです。


3.補助概要
「東京とどまるマンション」に登録したマンションを対象に、防災備蓄資器材の購入費用の一部を補助します。町会等と合同で防災訓練を行う場合に補助率等を引き上げます。

 

 

 

 

●補助の対象となるもの防災備蓄資器材の購入に係る経費(飲料水・食料は対象外)
(例)発電機、簡易トイレ、防災キャビネット、給水タンク、炊き出し器など

 

 

 

 

マンホールトイレ整備促進事業については、テント・便座などの上部構造物は対象外。200以上の雨水貯留タンクや水源の設置が必要です。
エレベーター閉じ込め防止対策促進事業は、エレベーターのリスタート運転機能や自動診断・仮復旧機能を設置する費用の補助で、耐震改修・戸開走行保護装置・地震時管制運転装置は対象外となります。

支援制度一覧
防災備蓄資器材の補助
//www.mansion-tokyo.metro.tokyo.lg.jp/kanri/02lcp-touroku/02fukyusokushin.html
蓄電池・発電機・浸水対策の補助設置工事を伴うもの
//www.mansion-tokyo.metro.tokyo.lg.jp/kanri/02dounyuu-sokushin.html
給排水管点検調査の専門家派遣
//www.mansion-tokyo.metro.tokyo.lg.jp/kanri/02kyuuhaisuikan.html
エレベーター閉じ込め防止対策の補助
//www.mansion-tokyo.metro.tokyo.lg.jp/kanri/02lcp-touroku/02elevator.html
マンホールトイレの補助地中の構造物・タンクなど
//www.mansion-tokyo.metro.tokyo.lg.jp/kanri/02lcp-touroku/02manhole.html


東京とどまるマンション普及促進事業
//www.mansion-tokyo.metro.tokyo.lg.jp/kanri/02lcp-touroku/02fukyusokushin.html

人材不足解消へ―全建センター「現場代理人研修システム」

一般社団法人全国建物調査診断センター(吉野笙一理事長)はマンション大規模修繕工事専門の現場代理人の能力向上に寄与するため、「現場代理人研修システム」をマンション管理会社、施工会社向けに実施しています。
大規模修繕工事や改修工事を成功させるためには、①ハード面での施工や技術②ソフト面での居住者と管理組合③大規模修繕工事や改修工事のプロ意識、の3要素が必要といえます。現場の第一線で活躍し、会社の代表として責任を持つ人材を育成するための、マンション修繕業界で全国初のプログラムです。
研修は2日間、講師が研修資料一式を持って出張いたします。
昨今、現場代理人を担える人材が不足している状況であるとともに、管理組合からも良質な現場代理人が求められています。今こそ、ワンランク上の修繕工事の提供と人材確保のため、「現場代理人研修システム」の活用が望まれています。

「現場代理人研修システム」

◆目 的
人手不足の重点対策として「マンション大規模修繕工事専門の現場代理人」の能力を向上させ、生産性を高めます。

◆対 象
・マンション大規模修繕工事の現場代理人として経験不足の方
・現場代理人として本格的な教育を受けたい方
・現場代理人の管理方法を確立したい方

◆内 容
・任意の2日間でマンツーマン出張研修
・研修終了後、各人に修了証を発行


◆費 用(3人以上)
一人35,000円(税込み)


◆日 程
ご都合のよい2日間を決めてください。
講師が研修資料一式を持って出張します。


◆会場および開催時間
会場:御社
時間:午前10時~午後5時
研修は応募企業の会議室へ出張して行う


「現場代理人研修システム」についての詳しい内容は

//lp.zenken-center.com/

研修は応募企業の会議室へ出張して行う

研修後には修了証が 授与される

修了証

講師プロフィール
岡崎利正(おかざき・としまさ)
1級建築士、1級建築施工管理技士。スーパーゼネコン、大手マンション修繕設計コンサルタント会社に勤務。金沢工業大学建築科、日本大学理工学部、武蔵野美術大学建築学科等で講師を歴任。
「現場代理人研修システム」

本の紹介/『安心できる住まいにするために共同住宅の耐震改修(補強)のすすめ2025年版』

川崎市の街を良くしたいという建築家たちが集まり、都市計画や建築、インテリアの設計監理やコンサルティング、耐震診断や耐震補強、あるいはまちづくりや建築に関する調査・研究等の業務を行う『協同組合川崎市建築家の会』が作成した1冊。熊本地震の写真などから地震被害を伝え、耐震診断・耐震設計・耐震改修(補強工事)の手順、工法等についての正しい知識、耐震化のメリット、耐震改修工事の実例などを紹介している。
『安心できる住まいにするために
共同住宅の耐震改修(補強)のすすめ2025年版』
編集・発行/協同組合 川崎市建築家の会
サイズ/A4判・61ページ
定価/1,000円(税込)
発売/2025年4月
購入希望者は「協同組合 川崎市建築家の会」まで
川崎市川崎区貝塚1-3-15
TEL.044-200-7200
//www.kawakenkai.or.jp

このままじゃ建物の瑕疵は直せない!~区分所有法26条改正の行方~

◆改正26条の問題
区分所有法および区分所有法に関連する改正が5月23日に国会で成立し、同月30日に公布された。来年4月1日に施行される予定である。
この区分所有法改正につき、本国会の審議で最もおおく時間を費やしたのが26条(権限)の改正案である。
何が問題なのか。
簡単に言うと、新築でも大規模修繕工事でも、施工ミスがあって、その損害賠償を施工会社に請求する場合、その当時に区分所有者だった人(旧区分所有者)に損害賠償の請求権があり、売買で新しく区分所有者になった人(現在の区分所有者)には請求権が移転しない、ということにある。
つまり、施工会社から施工ミスで生じた損害金を裁判で勝ち取ることができたとしても、損害金100%が管理組合に入るわけでなく、旧区分所有者にも割り当てられるということになるのだ。
すでに売却して引っ越した人が請求権を移してもらわなければ、管理組合として施工ミスの補修を進めることができない。
仮に大規模修繕工事で外壁補修にミスがあり、タイルが落下するなど、それが通行人等にケガを与える危険があったとしても、改正26条のハードルにより、外壁の補修が進まず、危険マンションの状態が続くことになりかねないのだ。
◆改正26条の内容
26条2項で「管理者は、その職務に関し、区分所有者を代理する」と規定した。これは損害賠償請求訴訟において、管理者に原告適格がないとした東京地裁平成28年7月29日判決の不都合性を回避するためである。
ただし、請求権を有する者は「区分所有者または区分所有者であった者」とされ、「旧区分所有者」も対象とした。
さらに、この請求権を有する者は「別段の意思表示をした区分所有者であった者を除く」ともある。つまり、旧区分所有者が管理者に委任せず、「自分は自分で請求権を行使する」と別の意思表示をすれば、施工会社に対する損害賠償金の一元請求が管理組合として不可能となる。
次に5項では、「管理者が原告または被告となったとき、保険金等の請求権を有する者にその旨を通知しなければならない」と定めた。旧区分所有者の現住所を調べて、わざわざ賠償金が入る可能性があると通知しなければならないわけである。
旧区分所有者は、すでにマンションに住んでいないのだから、前述したように別の意思表示をする可能性は小さくない。ますます施工ミスの補修の実現は困難を極める。
◆改正26条の前提
なぜこのような法改正が通るのだろうか。
法律学者によると、その理由は、基本的に「共用部分等について生じた損害賠償請求権」は金銭債権(可分債権)だから、区分所有者に帰属(分属)しているという前提だ。
しかし、その理屈は、専有部分と共用部分の分離禁止の原則(15条=共用部分の持分の分離処分の禁止)に反する。
共用部分の持分は、専有部分の処分に従い、専有部分と分離処分できないとされている。そうであれば、共用部分等について生じた損害賠償請求権は専有部分の売却に追従すると考えるのが一般人の理解だろう。
また、法改正に賛成している議員ら(特に弁護士出身の自民党の国会議員)からは、「欠陥住宅に住まわされ、売却する際に安く売らざるを得なかった旧区分所有者にも損害がある」と、旧区分所有者の財産権を主張する意見も上がっていた。
共用部分等に生じた損害賠償請求について、売却して、今やマンションと無関係になった人の財産権?を優先し、危険な状態のマンションの補修は後回しということだろうか。
施工ミスが判明する前の売却であれば市場価格には反映されていなかっただろうし、判明後に市場価格が下がっていれば、不当利得による救済も可能だが、一方で新区分所有者に旧区分所有者に対する売買契約不適合責任に基づく損害賠償請求権が生じることも忘れてはならない。
◆当然承継の必要性の訴え
こうした26条の改正案に対し、欠陥住宅被害全国連絡協議会(欠陥住宅全国ネット)、全国マンション管理組合連合会(全管連)では、参議院会館で集会を開き、共用部分の100%補修の実現として、区分所有権の移転と同時に損害賠償請求権も新区分所有者に当然に移転(当然承継)する法改正を求めてきた。

区分所有法の根本的な考え方
「区分所有権」=専有部分を所有する権利(法2 条1 項)
各区分所有者の共用部分に対する共有持分は、区分所有権に含まれない。
①共用部分の持分は、専有部分の処分に従う(法15 条1 項:随伴性)
②共用部分の持分は、専有部分と分離して処分できない(法15 条2 項:分離処分の禁止)
③区分所有者は、共有物の分割を請求することはできない(法12 条:分割請求の禁止)

以上の点から、区分所有権を売って出ていった人が、共用部分の損害賠償請求権を持ち続けられるなどという考え方は、共用部分の共有持分を分離して持ち出すことと同じこととなり、区分所有法の根本原則に反する。
区分所有権が転売されれば、損害賠償請求権も当然に一緒に移っていくこと(当然承継)になるはずである。
欠陥住宅被害全国ネットおよび全管連では、この「当然承継」があるべきだと訴えている。
◆「共用部分損害賠償請求権」の今後
欠陥住宅被害全国ネットおよび全管連の主張は反映されず、法改正は成立した。
とはいえ、問題は残るとして、国土交通省では、共用部分の損害賠償金の使途について、あらかじめ修繕積立金に組み込むなどの条文を設けるよう標準管理規約を見直す検討会を開始した。
しかし、実際に管理組合が施工会社相手に施工ミスによる損害賠償請求訴訟を起こした場合、管理規約でどこまで一元請求を担保できるか不明である。
管理規約は個々のマンションの決まり事である。区分所有法で旧区分所有者への対応が求められている以上、管理規約改正では不合理といわざるを得ない。
100%補修の実現ができなければ、現在の区分所有者全員の財産権の侵害であり、また近隣住民などの生命、身体を侵害する恐れも解消されない。
このままでは、欠陥マンションは永久に直せないのではないだろうか。
法律家は「所有権は移転登記で主張できるが、請求権は人に付いていく」という。一般人の私たちにはよく理解ができない説明である。一方、請求権の「当然承継」はいたってわかりやすい。いったい法律とはだれのためにあるのだろうか。
<全建センター・大規模修繕工事新聞論説委員会>

第76回管理組合オンライン・セミナーのお知らせ

日時:8月24日(日)13時スタート

 

 

 

第一部:『マンションAI』に 相談してみよう!
『マンションAI』は全建センターが開発した生成AIです。
簡単な質問事項を入れるだけで、全建センターが15年間以上にわたって蓄積してきた大規模修繕工事新聞の情報、全54冊を超える全建文庫の内容、マンション管理組合セミナーのレジュメ、これまで所属のコンサルタントや協力弁護士などに寄せられた質問および回答など、クローズな情報ボックスに入っている情報をまず優先的に検索、取り組み、ついで『マンションAI』がインターネットにある情報から自動的に検索したものと合わせて整理したものを回答することができる仕組みとなっています。

したがって、『マンションAI』を利用することによって、これまでの単なる検索エンジンでは得られなかった、より精度の高い情報収集が簡単にできることになっていきます。
今回のセミナーでは理事長や役員のみなさまが利用しやすいよう、下記のような質問集をつくり、それをマンションAIに書き込んで、実際にはどのような回答が行われるのかについて体感してもらいます。
○大規模修繕工事の見積書の取り方を教えてほしい
○12年周期で大規模修繕工事はやる必要あるの?
○大規模修繕工事で使う接着剤でアレルギー反応を起こしてしまう人への対策は?etc.
この『マンションAI』を活用する管理組合と、そうでない管理組合では、今後その上に大きな差が生まれてくることになるといえるでしょう。


第二部:『マンションAI』の 可能性を深掘りする

『マンションAI』制作顧問に聞く
聞き手:吉野亜衣子(元文化放送プロデューサー)
話し手:光藤祐基(ニューヨーク大学客員教授・AI研究者)

生成AIで世の中が大きく変わろうとしています。
生成AIを利用出来るか否かで、企業も団体も個人も大きな差がでると言われたいます。
今回のセミナーではこのほどニューヨーク大学客員教授に就任したAI研究のトップリーダーである光藤祐基博士に、生成AIで世の中がどのように変わるのか、また、『マンションAI』で何が出来るようになるのか、全建センターのニューヨーク支部の吉野亜衣子理事がインタビューします。 


 

<お申し込み>
(1)お申し込みはインターネットからお願いします。
お申し込みの方は下段の方法によりお申し込みください。
①下記のQRコード、URLよりお申し込みいただけます。

//zenkencenter.com/76sm

②下記メールアドレスに、管理組合名、代表者名、ご住所、電話番号、メールアドレスを記入して送信してください。
info@zenkencenter.com

(2)全建センターからお申し込み承諾メールを送信します。
お申し込みいただいた方には、オンライン・セミナー開始1週間前、および、開催当日に視聴URLおよび視聴方法、暗証番号、アンケートのご案内をメールにて発信します。

講師:佐藤成幸・全建センター筆頭理事
(マンション管理士、一級建築施工管理技士)

講師:光藤祐基
(ニューヨーク大学客員教授・AI研究者)

「マンションAI」の使用開始とその具体的な手順

① まず全建センターのホームページより、「全建Library」にアクセスしてください。
 画面左側の茶色のドアをクリックしてお入りください。次に暗証番号が求められますから、管理組合役員から知らされた暗証番号を入力してください。
 もしまだ暗証番号が知らされていない場合は、管理組合役員に相談して全建Libraryに登録して暗証番号を取得するよう相談してください。
 全建Libraryに未登録の場合は、右側の緑色のドアから入ると、全建Library登録サイドが開きますので、こちらから登録してください。
 すでに管理組合の代表者または役員が全建Libraryに登録済みの場合は、新たな登録は不要です。

 

 


② 暗証番号を入力すると、全建Libraryのトップページが開きます。

全建LibraryスタートOKの緑色のバナーをクリックして全建Libraryにお入りください。
 トップページにはこれまで開催した管理組合セミナーの一覧が表示されているはずです。
 必要な回のバナーをクリックすると、その回のVTR、
YouTube映像またはvimeo映像を見ることができます。


 また、左側にある目次をクリックすると、それぞれの現在から過去までの資料を閲覧することができます。
 大規模修繕工事新聞では、これまでの新聞を電子ブック版で読むことができます。また、大規模修繕工事新聞記事をクリックすると、最新の記事から過去の記事まで閲覧することができます。
 全建文庫では、現在まで発行された全54冊の表紙が一覧表示されますから、それぞれの書籍を電子ブックで読むことができます。

 

 

 

 

 

 


③「マンションAI」の利用方法です。
 全建Libraryの各ページの上部に「マンションAI」のバナーが表示されていますので、ここをクリックして『マンションAI』利用画面を開いてください。
 

 

 

 

次に開いた画面下の窓にプロンプト(指示出し・質問)を入力してください。プロンプトとは、「マンションAI」を利用する際、利用者が入力する指示や質問のことです。
 キーワードまたは文章で入力してください。事例として、「修繕積立金 不足 対策」とキーワードを入力して、青いバナーの送信をクリックしてください。
 すると、30秒から1分で整理された回答が表示されます。画面には表示サイトのURLも表示されますから、ここをクリックするとそのサイトが表示されます。
 次に、最近大規模修繕業界を騒がせている「大規模修繕工事談合問題」と入力してみました。このように最新の情報も確実に拾ってきて、回答してくれることがわかります。
 以上でお分かりのように、マンションAIを上手に使いこなすには、プロンプト、いわゆる指示出し・質問の書き方が重要です。

 そこで全建センターでは、今後皆様がマンションAIを使用した体験をもとに、大規模修繕工事やマンション管理組合に特化したプロンプト集を全建Libraryに収録したり、全建文庫として出版していく予定ですのでご期待ください。

 


④同一マンション居住者なら全員利用OK
 

 「マンションAI」は生成AIですから自ら学習し、新たなコンテンツを生成する能力を身につけています。そのため、より多くの皆様が「マンションAI」を利用することで、自己成長を続け、より使い勝手が向上します。
 そこで、全建センターでは「マンションAI」をマンション業界の共通の宝として育てるため、「マンションAI」管理組合窓口として開放することとしました。
 全建センターがこれまで蓄積してきた情報集積閲覧サイトである全建Libraryにマンション管理組合の代表が登録するだけで、そのマンションすべての居住者(管理組合員)が、全建Libraryと「マンションAI」の両方を無料で利用できるようにします。
 具体的には、個々のマンションに「マンションAI」管理組合窓口という『専用HP(ホームページ)を全建センターが無料で制作し、「マンションAI」と全建Libraryを利用できる形にします。
 ただし、専用HP制作に時間がかかりますので、第一次募集として、100組合の参加を承ります。第一次の処理が完了した時点で第二次、第三次と募集を進めていく予定です。
 詳しいことは、専用のHPを立ち上げていますので、ご確認ください。
//zenken-center.com/library-5/

 

 

 

 

 

全建文庫最新刊「管理組合を変える『マンションAI』の活用法」電子ブック版閲覧無料開放 
//z-book.jp/zjt54/
閲覧暗証番号:250501DdGg
※紙書籍はAmazonで購入出来ます。

 

 

人類史を変えたトウモロコシの過去・現代・未来

 スーパーの野菜売り場や夏祭りの屋台など、どこにでも顔を出すトウモロコシ。黄色くて、甘くて、子どもにも人気のあの穀物ですが、実は人類の歴史を大きく左右してきたスーパースターだということをご存じでしょうか。
 一見すると、ただのトウモロコシ。でもその存在がなければ、世界の地図も文化も、もしかしたら戦争の行方すら変わっていたかもしれないのです。


●過去:トウモロコシと文明の誕生
 トウモロコシの起源は、約9000年前の中央アメリカのメキシコ南部あたりにさかのぼります。もともとは「テオシント」という野生の草だったものを、何世代にもわたって人間が改良し、現在のような粒がギッシリ詰まった食べごたえのある姿になりました。
 これが文明の起爆剤となりました。マヤ文明やアステカ文明など、中央アメリカに栄えた高度な社会は、トウモロコシなくして成立しなかったと言われています。主食として安定した食糧供給を可能にし、人口の増加と都市の発展を支えたのです。
 また、トウモロコシは神聖な植物でもあり、アステカの神話では「人間はトウモロコシから生まれた」とまで語られています。つまり、トウモロコシは彼らにとっての命の源だったわけです。
もしここでトウモロコシがなかったら? マヤもアステカも、ただの村落に終わっていたかもしれませんし、アメリカ大陸の歴史そのものが数千年スローモーションだった可能性すらあります。ヨーロッパにおけるムギ、東アジアにおけるコメ、アメリカ大陸におけるトウモロコシという穀物がなければ、人類はいまのように発展できなかったでしょう。


●現在:世界を支配するコーンパワー
トウモロコシは現在、世界で最も生産されている穀物のひとつです。特にアメリカ合衆国では、農地の3割以上がトウモロコシ畑。
さらに、トウモロコシは食品だけでなく、工業製品や燃料にも使われています。お菓子に入っているブドウ糖やコーンシロップ、バイオエタノールといった形で、私たちの生活のあちこちに顔を出しているのです。
 実際、ある経済学者は「現代アメリカ人の体はトウモロコシでできている」とすら言っています。ジャンクフード、炭酸飲料、冷凍食品――それらの原材料の多くが、巡り巡ってトウモロコシにたどり着くのです。逆に考えてみましょう。もしトウモロコシがなかったら? 世界の食糧供給はもっと不安定だったでしょうし、畜産業のコストも大幅に上がっていたはずです。ハンバーガーもチキンナゲットも、もっと高級品だったかもしれません。
 ハンバーガーやチキンナゲットとトウモロコシは肉やコムギだからトウモロコシは関係ないだろですって?
 家畜を早く大きく育てるためには、トウモロコシは欠かせない飼料なんです。我々が気軽に玉子やトンカツを食べることができるのも、トウモロコシのおかげと言っていいくらいです。

●未来:救世主か?
 これからの未来、トウモロコシの立場はますます重要になるかもしれません。一つは、バイオ燃料としての役割です。地球温暖化の対策として、再生可能エネルギーが注目される中、トウモロコシから作るバイオエタノールはその筆頭株です。
 もう一つは、人口増加に対応するための食糧源として。小麦や米と違って、乾燥にも比較的強く、遺伝子組み換え技術とも相性がよいため、将来の飢餓対策としても期待されています。
 ただし、課題もあります。あまりにもトウモロコシに依存しすぎると、生物多様性が失われたり、農業の一極集中によって病害虫のリスクが高まったりする危険性もあります。現代の「コーン経済」は、便利で効率的ではありますが、その裏側には環境負荷や健康リスクといった課題も潜んでいるのです。


●もしトウモロコシがなかったら?
 ここで改めて問い直しましょう。もし人類の歴史にトウモロコシが存在しなかったら、どうなっていたでしょうか?
 まず、アメリカ大陸の文明は成立しなかったかもしれません。ヨーロッパの大航海時代以降、トウモロコシはアジアやアフリカにも伝わり、飢饉を救った地域も少なくありません。それがなければ、歴史は飢えと戦争でもっと混沌としていたかもしれません。
 さらに現代。ファーストフードもコーンスナックも存在せず、エネルギー問題はさらに深刻だったことでしょう。たかがコーンと思うなかれ。今日もありがたく食べ物をいただきましょう。

(巨椋修(おぐらおさむ):食文化研究所) <おもしろコラム提供>//omosiro-column.com/

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