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大規模修繕工事新聞2026年7月 第199号

全建センター/ 理事会廃止の管理組合への新提案、監査サービス開始 「マンション管理士監査制度」

全建センターでは、管理組合・理事会を主体としながら、マンション管理士が実務・法務・技術面から支援する仕組みを構築しました。それが「マンション管理士監査制度」です。適切に機能するための支援体制を整えることで透明性の高い運営と円滑な合意形成を目指します。
このため、全建センターでは管理組合の主体性を保ちながら、専門性を補う「マンション管理士監査制度」を開始しました。
専門家であるマンション管理士が、管理組合・区分所有者(意思決定の主体)を支援し、理事会の運営や機能を向上させます。

詳しくはこちらまで。
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マンション防災 「東京とどまるマンション」登録要件見直し 5段階評価、ソフト対策(防災活動)必須へ

 東京都が実施している「東京とどまるマンション」登録表示制度について、2026年6月5日、大きな見直しが発表されました。
今回の見直しは、大震災などの発災時における「共助(住民同士の助け合い)」の実効性を高め、在宅避難への備えをより明確に評価することを目的としています。
主な変更点は、「防災活動に関する登録要件の見直し」と「5段階の星表示(ランク制度)への刷新」の2点です。


1. 登録要件の見直し(ソフト対策の変更)
 前提となる「耐震性の保有」や、非常用電源などの「ハード対策」の基本路線は維持しつつ、ソフト対策(防災活動)の選択事項が一部変更・強化されました。
変更前(これまでの選択事項)
・年1回以上の防災訓練の実施
・3日分程度の飲料水・食料の備蓄
・応急用資器材の確保
・災害時の連絡体制の整備
・上記の中からいずれか1つに取り組んでいること。
変更後(新しい選択事項)
・年1回以上の防災訓練の実施」 または 「安否確認方法の構築」
・れまでの選択肢から、より災害直後の生存確認や共助に直結する上記いずれかへの取り組みが必須(選択事項として見直し)となりました。


2. 登録表示制度の刷新(最高5段階の評価へ)
 これまでは3段階だった防災対応力の表示が、取り組み状況に応じて最高5段階(★1〜★5)の星表示で評価される仕組みに改められました。
ベースとなる「ソフト対策(防災活動)」の登録が必須条件となり、そこにハード対策等の項目を積み上げることで星が加算されます。

 

 

 

3.加算対象となるハード対策等の項目
①非常用電源: 停電時でも給水やエレベーター1基以上を動かせる電源の設置
②エレベーター閉じ込め防止対策: リスタート運転機能の設置
③エレベーター早期復旧対策: 自動診断・仮復旧運転機能の設置
④防災備蓄資器材の確保: マニュアルに即した備蓄スペースと資器材の確保


【コメント】
 以前の制度では「ハード対策のみ」での登録も可能でしたが、今回の改定により「ソフト対策(防災活動)の登録が無い場合、ハード対策がいくつあっても星(★)が加算されない」仕様に変更されています。
マンション内の防災組織やマニュアルの運用といったソフト面が、より重視される形になりました。
 登録が完了すると、エントランス等に掲示できる新しいデザインの「登録ステッカー」が配布され、何に取り組んでいるマンションなのかが外から一目でわかるようになります。
各種補助金(エレベーター対策や防災井戸、防災備蓄資器材への補助など)の申請要件にも絡んでくるため、管理組合での防災計画の見直しや総会・理事会での議案書作成の際には、新しい基準をベースに検討を進める必要があります。

建築物リフォーム・リニューアル調査結果 管理組合発注は1兆円市場へ 前年度比約3割増加

 国土交通省総合政策局・建設経済統計調査室は6月12日、建築物リフォーム・リニューアル調査を実施し、第1~第4四半期までの受注分について令和7年度計としてまとめ、発表しました。調査対象は建設業許可業者5,000社です。
令和7年度の「住宅合計」のリフォーム・リニューアル受注高は4兆9,033億円で、前年度比18.7%増加し、管理組合発注の受注高は9,539億円で同29.8%増加しました。
 管理組合発注の工事種類別受注高をみると、「住宅」の「改装・改修」は8,562億円で30.8%増加。「非住宅」も570億円で12.8%増加でした。
用途、構造別受注高は、「共用部分」の項目で「コンクリート系構造」が10,545億円で19.7%増加、「鉄骨造」が545億円で16.1%増加しました。
 年度別の住宅合計の受注高(グラフ)をみると、年々増加していることがわかります。
 7年度の管理組合発注の受注高は9,539億円で、約3割増加。1兆円に迫る勢いです。
 管理組合の修繕積立金をどう守るのか。工事費の高騰が浮き彫りになる数字が発表されたといえるでしょう。

 

令和7年度管理業者へ全国一斉立入検査 是正指導等の実施は112社中31社/国土交通省

 国土交通省は不動産・建設経済局参事官名で5月29日、管理業者31社に是正指導を行ったと発表しました。各地方整備局および北海道開発局、内閣府沖縄総合事務局において、全国のマンション管理業者112社に対し、事務所等へ一斉立ち入り検査を実施し、その結果を発表したものです。
 今回の立ち入り検査は、マンション管理業者の登録数1,735社(令和7年度末現在)のうち112社(昨年度107社)に対して実施。是正指導した合計(重複該当あり)の割合は27.7%で、昨年度(20.6%)との比較では7.1ポイント増加しました。
 国土交通省では「 改正マンション適正化法および同法施行規則が今年4月1日から施行されていることから、今後、管理業者管理者方式のマンションに関して、利益相反のおそれがある場合の取引の事前説明義務等に関しても、重点的に法令遵守の指導を行う」とし、関係団体に対しては「さらなる法令遵守の徹底を図るための研修活動等を推進するなど、マンション管理業全般の適正化に向けた社員への指導等を図るよう要請を行った」としています。

 

『マンション 狙われる修繕積立金』

施工会社に対する公正取引委員会の立ち入り検査、裏金・リベート、管理会社の利益相反・・・談合の土壌はどこにあるのか?なりすましで管理組合を操る「侵入者」、相続人不明の空き室、欠陥住宅による健康被害や家族崩壊といった「建てっぱなしの」政策論など、狙われる積立金、奪われる積立金の理由を解き明かします。
また、今回のマンション関連法の改正で何が変わるか。「管理業者管理者方式」の落とし穴などについても、当の管理組合監事から実態を聞いています。
著者は、建物と居住者の「2つの老い」をはじめて説いた、ノンフィクション作家の山岡淳一郎氏です。大金をはたいて購入したマンションで、その区分所有者からさらに管理費・積立金が狙われています。山岡氏は「自分たちの資産は自分たちで守る。そのために管理組合をどう運営するのか」と投げかけています。

『マンション 狙われる修繕積立金』
2026年6月15日発行
著者/山岡 淳一郎
シリーズ・巻次/平凡社新書・1108
判型/新書判・240ページ
定価/1,210円(税込)
発売/㈱平凡社
ISBN 978-4-5828-6108-2
(リンク)
//www.heibonsha.co.jp/book/b676311.html

 

『マンション修繕工事 施工実践マニュアルポケット版』 【塩ビ系シート防水工事編】

マンションリフォーム技術協会は、設計者、工事施工者、材料メーカーが三位一体となってマンション大規模修繕工事の改革を推進できるよう、研鑽を重ねる活動を行っている団体です。三者の現場での経験値を共有化することで、より実践的な品質向上のポイントや施工技術基準の作りに向けた研究活動を行えることが強みといえます。
本書は、その活動成果として発刊した『施工実践マニュアル・上下巻』の分冊で、ポケット版
10巻目。既刊の 《シーリング工事編》《防滑性ビニル床シート複合防水工事編》など、書籍の詳細と購入は協会事務局(03-5289-8641)まで。

『マンション修繕工事 施工実践マニュアルポケット版』
【塩ビ系シート防水工事編】
2026年4月発行
編集発行/一般社団法人 マンションリフォーム技術協会
判型/A5判・53ページ
定価/1,200円
※書籍の購入はこちらから
(一社)マンションリフォーム技術協会
でんわ03-5289-8941 E-mail:mansion@marta.jp
//marta.jp/official-publication2018

マンションの「共同利益」をいかに守るか ―59条競売と相続を巡る法的課題―

1  事案の概要
【申立人】管理組合
【被告】区分所有者A:当該マンションの共用部分に物品を放置したり、他の居住者とトラブルを起こしたり、騒音を発するなどの行為を行っていた。


2  59条競売請求訴訟から競売開始決定が取り消されるまでの経緯
4月5日: 管理組合の理事長が共同利益に反する行為を行う区分所有者Aを被告として提起していた、区分所有法第59条に基づく競売請求訴訟の口頭弁論が終結
4月22日: 申立人(管理組合側)の請求を認容する判決が言い渡される
5月3日: 被告Aに判決書が送達される
5月17日: 2週間経過により、上記判決が確定
6月3日: 申立人は、確定判決に基づいてA所有の区分所有建物の競売申し立てを実施
7月11日〜20日の間(推定): 競売の手続きが進められる中、被告であった区分所有者Aが死亡
競売手続きの進行中: 裁判所は手続きの過程でAが死亡した事実を把握
9月5日: 裁判所は職権をもって競売手続の取り消しを決定


3  裁判所の判断
 裁判所は、59条競売が特定の区分所有者による共同利益違反行為を排除することを目的としているため、その判決の効力は当該所有者固有の属性に基づくものであり、相続人(包括承継人)には承継されないと判断した。
また、区分所有者が交代すれば、競売の目的である「障害の除去」は達成されたものとみなされるとしている。


4  コメント
 事案は、共同生活を著しく乱す区分所有者に対し、管理組合側が競売を申し立て、判決が確定した後に本人が死亡したというものです。
 裁判所は、59条競売が特定の個人による義務違反行為を排除することを目的としている以上、その効力は本人固有の属性に帰属するものであり、相続人(包括承継人)には承継されないと判断。職権をもって競売手続きを取り消しました。本判決は、マンション管理の透明性を求めようとした区分所有者側の行動(居住実態の調査など)に一定の理解を示しつつも、双方が感情的になり、事実を誇張した文書を配布したり、総会で根拠のないレッテル貼りの発言(ストーカー、ブラックリストなど)を行ったりしたことについて、いずれも一線を越えた名誉毀損にあたると認定した事例となった。

 確かに、法理上、59条競売は「特定の区分所有者の属性」を審理の対象とします。そのため、所有者が交代すれば、形式的には「障害の除去」という目的は達せられたとみなされます。
 しかし、区分所有者が変われば共同利益侵害状態は解消されますが、実際の問題をみると、管理費の滞納等があったとして、区分所有者が変更したことのみをもって問題は解消されず、その後の対応によって状況が変わり得るといえます。
 つまり、申し立てられた共同利益背反行為者が口頭弁論終結の後に区分所有権を譲渡してしまうと、管理組合としてはもう一回、譲受人を相手に裁判しなければならなくなるのです。
 今回の決定は、現在の判例の流れを汲んだものではありますが、同時に現行法の限界を露呈させた。相続人が共同生活の障害を速やかに除去しない場合、管理組合が再びゼロからの闘いを強いられる現状は、不合理といえます。
 特定の区分所有者の排除は、共同利益侵害行為の解消の「手段」に過ぎず、「目的」ではありません。実務上の立場からも、そのように解しないと、脱法的な所有権移転を認めることとなります。
 平成23年11月16日東京高裁では、共同利益侵害行為を続ける区分所有者に対し、管理組合は勝訴判決を得ましたが、その訴訟の口頭弁論終結後、当該所有者が所有する物件を、弟が代表の法人へ「5分の4」だけ譲渡しました。
 裁判所は、脱法的な意図が強く疑われるとしても、それをもって直ちに民事訴訟法上の「承継人」の範囲を拡大することはできないとし、結果として当該所有者は「5分の1」の持分を持ったまま居座り続けることができると判断しました。
 これが不合理と問題になっています。
 現在、59条競売を申し立てる際は、相手方が「持分の全部」であれ「一部」であれ、一切の処分を禁止するために、必ず訴訟前に物件全体に対する「処分禁止の仮処分」をかけて登記をロックするのが、実務上の鉄則中の鉄則となっています。

全建文庫、65冊突破/全建文庫電子Book版を無料公開しました。

 全国建物調査診断センターでは創立から17年以上にわたり毎月「大規模修繕工事新聞」をマンション管理組合に発信し続けて交流を促進してまいりました。また、隔月で開催している管理組合セミナーは80回となりました。さらに、これら蓄積した「経験情報」を各テーマ別にまとめ、全建文庫として販売しておりますが、その数が62冊になりました。 今後もマンション管理組合セミナーや大規模修繕工事新聞の取材、管理組合セミナー、そして、全建センターで取り扱った各種相談などから情報を収集・編集し、発信してまいります。 なお、全建センターでは、全建文庫65冊突破を機に、管理組合、マンション居住者に同文庫の電子ブック版を無料公開しました。 無料公開の全建文庫一覧は下記の専用HPで公表、こちらから、読みたい書籍の画像をクリックすると、当該書籍閲覧するための暗証番号が求められるので、専用HPに公開されている暗証番号を入力すると、当該書籍電子ブック版が表示されます。
//z-center.net/zenkenbunko

発行元の全建センター・吉野代表理事は「貴重な情報源として多くの管理組合役員から高く評価されていることから、一般社団法人設立の趣旨から、これを広く無料公開することで、大規模修繕業界に降りかかっている様々な問題解決の一助になれば」と公開に至った心情をかたり、「100冊発刊のゴールを目指して、今後も、全建文庫の発行を続けていきたい」と決意を述べている。

全建文庫は下記サイトから閲覧または購入(紙書籍版)ができます。

1.全建Library登録で、全建文庫の全巻が電子ブックでも閲覧できます。
//zenken-center.com/library
全建Libraryサブスク登録
//credit.j-payment.co.jp/link/creditcard/input

2.全建出版販売
//zenkenlibrary.shop-pro.jp

3.Amazon

4.TEBRA書店

5.全建文庫65冊突破チラシ

『写真でたどる 勝手気ままな旅日記』(その2)

 京都・紫陽花を撮りに6月22日、23日

6月22日、昨日夜から京都の紫陽花を撮りに来ています。紫陽花では京都で一番と言われる三室戸寺(写真1)行きました。紫陽花苑はとても素晴らしく最高でした。
紫陽花は50種類、2万株咲き誇っていました(写真2)。またお寺も立派で、訪問する価値がありました。
今日の紫陽花訪問は、三室戸寺と藤森神社を予定しましたが、三室戸寺後半で雨が降り出しました。
傘持参ではなかったので、ホテルに直帰するつもりでしたが、電車に乗ったらとたんに雨が止んだので、藤森神社(写真3)にも行くことにしました。
こちらの紫陽花苑も綺麗でした(写真4)。
京都駅・伊勢丹の11階、京野菜の食事処でチョット良い料理を、昼夜兼ねてビールと麦焼酎飲みながら美味しくいただきました。
23日は、洛西から近い紫陽花で有名な2つのお寺に行きました。阪急洛西口から西山天王山へ向かい、タクシーで約10分(2,100円)でした。
楊谷寺・柳谷観音(ようこくじ・やなぎだにかんのん)(写真5)は9世紀創設と伝わる古刹です。
本土は江戸時代の建立で、眼病や諸病を平癒してくれると言われる十一面千手千眼観音菩薩が安置されています。
本堂と書院の間には都府指定名勝庭園でもある浄土苑が整備されており、書院から庭園を鑑賞出来ました。
6月には境内に約5,000株のあじさいが咲き誇り(写真6)、「柳谷観音あじさいウイーク」が開催され、とても混雑していました。
多種多様なあじさいを楽しみながら散策出来る他、あじさいを手水に浮かべた「花手水は」実にインスタ映えしていました。アンブレラスカイ、花階段も綺麗でした。

 

【談合問題】公正取引委員会 施工会社36社、コンサル2社に排除措置命令 『談合違約金特約条項(違約金10%)』の明記を

 大規模修繕工事の談合問題で、公正取引委員会は施工会社36社、設計コンサルタント会社2社の独占禁止法違反(不当な取引制限)を認定し、再発防止を求める排除措置命令を出す見通しであることがわかりました(右表)。
 施工会社には合計約16億円の課徴金納付命令を出すとしています。
 次いで、被害にあった管理組合としては、工事業者やコンサルタントに対して損害賠償請求、あるいは違約金の返還請求をすることは法的に可能となります。管理組合が不当に搾取された修繕積立金を取り戻すための動きが現実味を帯びてきています。
 実際に請求を進めるにあたり、成否を分けるポイントと法的根拠を整理しました。


1. 「談合違約金特約」の有無
管理組合がどれだけスムーズに請求できるかは、当時の工事請負契約書に「談合違約金条項」が含まれているか。
① 契約書に「特約」がある場合(極めて有利)
近年の工事、特に国土交通省が「談合違約金特約条項」のモデルを示して導入を推奨した2025年6月以降の契約であれば、この条項が入っている可能性が高いです。
【国土交通省】マンション修繕工事に係る請負契約における談合違約金特約条項
//www.mankan.or.jp/cms-sys/wp-content/uploads/2025/06/ca152a36b4081c30fa985ae10c5c1f9b.pdf

② 契約書に「特約」がない場合(ハードルは高いが可能背あり)
業者主導の契約書で特約が抜け落ちていた場合、民法の「不法行為(709条)」または「債務不履行(415条)」を根拠に損害賠償を求めることになります。
ただし、「本来の適正価格がいくらであったか」を被害者側(発注者)が立証するのは技術的に非常にハードルが高いといえます。
過去の裁判例をもとに、ある弁護士によると「工事金額の5%。1億円であれば、500万円の損害賠償金が範囲ではないか」と話しています。


2. 悪質な「不適切コンサルタント」への追及
大規模修繕で主流の「設計・監理方式」を悪用し、裏で工事業者からバックマージン(キックバック)を受け取って談合を主導していたコンサルタントや管理会社がいる場合、彼らに対しても善管注意義務違反に基づく損害賠償請求が可能です

3. 管理組合が今すぐ着手すべき4つのステップ
1.契約書の「特約」をチェックする
過去の大規模修繕の契約書一式を引っ張り出し、「談合」「不正行為」「違約金」といった文言が含まれる条項がないか確認します。
2.証拠書類をすべて保全する
当時の見積書(他社の相見積もりも含む)、選定プロセスの議事録、コンサルタントとのメール履歴、居住者向けの説明会資料などを、破棄・紛失しないよう厳重に保管します。
3.「時効」を意識する
不法行為による賠償請求権は「損害および加害者を知った時から3年(または行為時から20年)」、債務不履行は原則「権利を行使できると知った時から5年」です。公取委の処分報道などで「知った」とみなされるため、タイムリミットを意識する必要があります。
4.専門弁護士や信頼できるマンション管理士に相談する
工業者への直接の問い合わせは、証拠隠滅や言い逃れの隙を与えるため厳禁です。まずはマンション法務や建築紛争の実務に強い弁護士に契約書を見てもらい、請求の道筋を立てるのが賢明です。

<全建センター・大規模修繕工事新聞論説委員会2026-7-02>

 

『「マンションAI®」活用術⑩ 「マンションAI®」に相談してみよう!

「マンションAI®」に相談してみよう!

現在、全建センターの「マンションAI®」は数多くのマンションの理事、あるいは組合員からご質問が寄せられ、それに対してマンションAIが回答している、という実例があります。
このコーナーでは、実際にこの数カ月の間に管理組合の皆さんが「マンションAI®」を活用されている実例を紹介します。
【監修】全建センター筆頭理事・佐藤成幸

Q   

大規模修繕工事が始まり足場作業にはいったところ「うちのバルコニーは工事しなくてもいい!」と現場事務所にクレームを言ってきた組合員がいて、作業がストップしてしまいました。バルコニーには物が置きっぱなしで、「自分の家に物をおいて何が悪い」といっています。
工事に非協力的な組合員へは、どのように対応すればよいでしょうか?


A    

バルコニーは居住者が専用に使える「専用使用権」が認められているものの、法的には「共用部分」です。そのため、管理組合が決議した修繕工事を拒否したり、私物を放置して工事を妨害したりすることは認められません。

1. 説得のための3つの法的・規約上の根拠
まずは、管理組合側に正当性があることを以下の3点から明確にします。
① バルコニーは「共用部分」である
バルコニーは、廊下や階段と同じ「共用部分」です。「自分の家(専有部分)」ではないため、個人の判断で工事を拒否することはできません。
② 居住者には「修繕に協力する義務」がある
区分所有法および管理規約(標準管理規約第23条「必要箇所への立ち入り」等)により、共用部分の維持管理・修繕のために必要な範囲において、管理組合は住戸内やバルコニーへの立ち入りや作業を行う権利があり、組合員はこれを拒めません。
③ 私物の撤去義務
バルコニーの私物(物置、植木鉢、私財など)は、大規模修繕工事の際には居住者の責任と負担で撤去しなければならないのが原則です。放置によって工事が遅延し、延長分の足場費用や人件費などの損害が発生した場合、その組合員個人に損害賠償を請求できる可能性があります。

2. 解決に向けた4つの対応ステップ

 現場事務所(施工会社)に直接クレームが行っている状態は避けるべきです。施工会社を守り、管理組合の問題として引き取りましょう。


ステップ1:施工会社から管理組合への窓口一本化
施工会社の現場代理人には、「組合員への直接の交渉や説得はしなくてよい」と伝え、苦情の窓口をすべて管理組合(理事会・修繕委員会)に一本化します。現場で揉めると、職人の安全や工事のクオリティに影響します。


ステップ2:管理会社を交えた「事実関係の確認と傾聴」
まずは、なぜそこまで頑なに拒否するのか、理事会や修繕委員会が同行して話を聴きます。「自分の家に物を置いて何が悪い」の裏に、別の本音が隠れていることがあります。
よくある隠れた理由
・荷物が重すぎて、高齢・体調不良により物理的に一人で片付けられない。
・修繕工事の総会決議や事前の説明会に出ておらず、内容を全く理解していない。
・過去に管理組合や他の住民とトラブルがあり、嫌がらせ(仕返し)の心理が働いている。


ステップ3:妥協案の提示(片付けのサポート)
もし理由が「物理的に片付けられない」「費用がない」ということであれば、管理組合や施工会社として以下のような現実的な救済措置(妥協案)を提案し、拒否する理由を無くしていきます。
・ 「室内に運び入れるのを、施工会社の作業員や理事会のメンバーで手伝う(養生等も行う)」
・ 「工事期間中、敷地内の空きスペースやコンテナ等に一時的に保管することを許可する」
・ 「どうしても動かせない大型物置などがある場合、そこだけ避けて工事をする(ただし、将来そこから漏水した場合は自己責任・自己負担になる旨の念書を交わす)」


ステップ4:書面による法的警告(最終手段)
対話に応じない、または妥協案も拒絶して妨害を続ける場合は、理事会名(または弁護士名)で「勧告書」や「警告書」を内容証明郵便等で送付します。

○今後のアドバイス
こうした「工事拒否」の事例では、多くの場合、ステップ2〜3の「丁寧に話を聴き、片付けを手伝うなどの実質的なサポートを提案する」段階で、相手の態度が軟化して解決に向かいます。
まずは理事会・修繕委員会でタッグを組み、感情的にならず「お困りごとはありますか?」というスタンスでアプローチしてみてください。それでも完全に拒絶される場合は、全体の損害を防ぐためにステップ4の法的措置の準備(弁護士への相談など)を速やかに進めるのが賢明です。

正しさが怒りに変わるとき―『かちかち山』が映す現代

 むかしばなしの中でも『かちかち山』は、とりわけ後味の苦い一編である。悪さを重ねたたぬきが老夫婦を苦しめ、その報いとして、うさぎから執拗で巧妙な仕返しを受ける。  子どもの頃は「悪いことをした者は罰を受ける」という単純な教訓として読めたが、大人になって振り返ると、この話はそれだけでは終わらない。むしろ恐ろしいのは、復讐する側の論理があまりに“正しく”見えてしまうことだ。
 現代社会でも、似た構図は珍しくない。誰かの不正や失言が明るみに出ると、たちまち非難が集まり、本人の立場や生活が徹底的に追い詰められる。もちろん責任追及は必要だ。しかし、過ちを正すことと、相手を潰し切ることは別である。その境目が曖昧になったとき、私たちはいつの間にか、被害者の味方ではなく「罰を楽しむ観客」になってしまう。
 『かちかち山』のうさぎは、被害を受けた老夫婦の無念を背負っている。だから読者は、その残酷さにどこかで納得してしまう。だがこの“納得”こそが寓話の核心なのではないか。人は正義を掲げると、怒りを制御しにくくなる。自分が裁く側に立った瞬間、相手の痛みは「当然の代償」に見え、想像力の外へ追いやられる。そこにあるのは、法や秩序ではなく、感情による私刑だ。
 SNSの炎上、職場での吊し上げ、失敗した人への再起不能な烙印。そうした現代の風景は、『かちかち山』の延長線上にある。悪を憎む気持ちは自然だが、怒りには増幅装置がついている。ひとたび火がつけば、「そこまでしなくてもいい」という声はかき消される。かちかちと音を立てるのは、背中の薪だけではない。私たちの内側で燃え広がる、正義感に似た興奮でもある。

 (ジャーナリスト 井上勝彦/絵:吉田たつちか)

 <おもしろコラム提供>//omosiro-column.com/

今回のセミナーでは、

1.談合問題の本質と管理組合の正しい対応の仕方とは?

2.談合問題解決の切り札「マンション管理士監査制度」とは?

の2大テーマについて、提案します。

※談合問題がクローズアップされている今、当初のセミナーテーマを少し変更しましたのでご了承ください。

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