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マンション管理業者に対する監督処分/国土交通省 元従業員による着服3件

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 国土交通省が2026年4月~8月に発表したマンション管理業者に対する監督処分は下記のとおりです。この行政処分等情報は、国土交通大臣、各地方整備局長等がマンション管理業者に対して行った処分等を定期的にとりまとめたものです。
 元管理員による着服が2件(近鉄住宅管理㈱、大和ライフネクスト㈱)。㈱ビケンテクノの件は、元課長(フロント担当)が14管理組合から9年間にわたり、約9億円もの金額を着服した事件です。元課長は懲役5年6カ月の実刑判決を言い渡され、ビケンテクノは令和8年5月19日から令和8年9月15日までの120日間、マンション管理適正化法82条に基づく業務停止命令が下されました。 マンション管理適正化法81条に基づく指示処分では、今回の違反行為の再発を防ぐため、①役職員への速やかな周知・徹底、②社内研修・教育計画の作成、継続的な実施、③日常の業務運営に関しての調査・点検、社内の業務管理体制の整備、④適切な再発防止策の策定、継続的な実施といった措置を講ずることが指示されました。

 国土交通省によるマンション管理業者に対する監督処分のうち、㈱ビケンテクノ(本社:大阪府吹田市)において発生した横領事件について、少し深掘りします。

 


【事件の概要】
 同社の元マンション管理課長(60代男性)が、受託していた14管理組合の通帳や印鑑を悪用し、修繕積立金などの預金を不正に引き出して着服・横領していた事件です。
【主な経緯と被害状況】
2023年11月頃、当該社員と連絡が取れなくなったことを不審に思った同社が調査を行ったことで、長年にわたる不正引き出しが発覚しました。
不正行為は2015年~2023年にわたり行われており、被害管理組合は14で、被害総額は約9億1,000万円。マンション管理組合の財産横領としては史上最大級の規模とされています。
【立件と逮捕】
2025年1月、大阪府警はまず大阪市中央区の管理組合の積立金など約4,700万円を着服した業務上横領の疑いで元管理課長を逮捕しました。その後も追起訴や部下に対する詐欺容疑などでの立件が進められました。
2025年9月、大阪地裁は元管理課長に対し「長期間にわたり巧妙かつ悪質」として懲役5年6月の有罪判決を言い渡しました。
【発覚の背景とガバナンスの問題点】
1.印鑑と通帳の「分別管理」の形骸化
マンション管理適正化法では、不正防ぐために預金通帳と実印(印鑑)の保管者を別々にする「分別管理」が義務付けられていますが、同課ではこれが遵守されておらず、元社員が口座を自由に着服・操作できる状態になっていました。
2.業務の長期ブラックボックス化・形骸化したチェック
元課長が一人で同一の会計・管理業務を担当しており、社内チェックや相互牽制体制が機能していませんでした。
3.管理手順の未明示
社内において、標準的な業務手順書や管理ガイドラインに基づく運用が文書化・徹底されていませんでした。

【ビケンテクノの再発防止策】
事件を受け、外部の専門家(弁護士・公認会計士)を交えた調査委員会が立ち上げられ、以下の組織的な再発防止策が策定・実行されています。

1.マンション管理課における体制強化
・マンション管理適正化法に即した業務手順を徹底して文書化
・担当者一人に権限が集中しないよう、構成員同士による相互牽制機能(ダブルチェック体制)の実効性を向上
・選択肢の一つとして、マンション管理業務自体をグループ会社へ承継・分離することも検討
2.管理・監査部門の強化
・経理部:マンション管理課に対するチェック・牽制機能を強めるため、管理職人員を拡充
・監査室:法的な規律や業務特性に着目した専門的な監査方針を策定し、人員を増やして内部監査を充実化。


【事件後の対応と影響】

 ビケンテクノ側は自社の管理体制の不備を認め、被害に遭った各マンション管理組合に対して損害賠償義務を負うものとして、全額返還・補償手続きを進める方針を示しました。
 国土交通省からは2026年4月に業務停止命令などの監督処分を受けました。会社側は全額の被害補填を行い、上記のようなガバナンス体制の刷新を進めることで、信頼回復の途上にあります。
 会社の業績に与えた影響は一時的に甚大でしたが、一方で、本業であるビルメンテナンス事業やホテル事業などは非常に堅調だったため、企業の存続を揺るがすような業績・株価の致命傷は避けられたと報じられています。

大規模修繕工事新聞 2026年10月 202号


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