東京・大田区のAマンション(築21年・26戸)では、共用部分の給水管の直結給水方式への設備改修工事に伴い、希望住戸に対して専有部分の給水管、給湯管、さらにはエコポイントの対象となる内窓工事を行った。
専有部分の改修を担当したのはトステム㈱。
共用部分の給水管の劣化対策として、計画修繕に基づいて、住民の修繕積立金から改修工事を行うのが一般的だが、本来は専有部分の劣化も進行しているため、同時期に改修するのがベターである。
ところが、専有部分は各戸の費用負担になるため、住戸内の配管の取り替えは難しい。難しいから、共用部分だけ改修して「終わり」という物件も少なくない。
Aマンションではコンサルタントを務めた㈱小野富雄建築設計室の小野室長が専有部分の改修を今行う住戸、今後行う住戸のために共通仕様書を作成。配管の種類など建物全体の統一した仕様をもってリフォームできるようにした。
また、今回は希望住戸だけ、給水・給湯管改修だけではなく省エネ・防音効果のあるサッシ・インプラスの改修も実現。システムキッチン、洗面台、ユニットバスの交換含め、室内改修をまとめて行うことによって一般リフォームよりも費用節減が可能となった。数をまとめて行うだけではなく、共通仕様書の存在が費用の節減につながるといえる。
コンサルの小野室長は「共用だけじゃなく、専有もという意識を理事会が理解してもらって、今後リフォームする住戸のためにもよい共通の仕様書ができた」と話している。
一般的にサッシは共用部分だが、サッシの内側に設置するインプラス改修は専有部分の改修として、各区分所有者の判断で工事が可能だ。
(大規模修繕工事新聞 第05号)