工事費は、大きく直接工事費と諸経費に分かれる。直接工事費には防水や塗装など「形に残る」部分と足場など「形に残らない」部分がある。
諸経費には共通仮設費(安全に関する費用、資機材の運搬費、廃棄物処分費など)、現場管理費(技術者の給与や現場事務所維持費、工事広報費など)、一般管理費(会社の事務経費や利益)があり、どれも工事を円滑に進めるのに必要な費用である。
こうした費用を知っておくとよいのは、見積書を見るとき。
例えば、会社を維持する上で必要な一般管理費の項目がなければ要注意。絶対に必要な項目であるのがわかっていれば、別の項目に上乗せされているのも見えてくる。
2. 工事費の例
実際にかかる工事費は工事の中身に大きく左右され、「100戸のマンションではだいたいいくらが相場なのか」といった概算工事費などというものは、まったくあてにならなない。個々のマンションごとに劣化の程度や形状、管理組合の懐具合など、あまりにも条件の違いが多すぎて、統計的な平均値に何の意味もないからである。
とはいえ、数年先の資金計画を立てるのに詳細な見積書を作成するというのも大変。具体的な工事費の例を「あのマンションはどのくらいの金額だったのだろう」くらいの目で見れば、ちょっとした参考にはなるかもしれない。
表は都心近郊のマンションが1回目の大規模修繕工事を実施した際の例で、最終的な契約額(竣工時精算済み)を示した。工事費については、工事の内容に加えて戸別の建築面積や平均専有面積に違いがあることを十分に踏まえた上で参考程度に止めておいてほしい。(かながわマンションライフ第7号より抜粋)
(大規模修繕工事新聞 第06号)