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建物明渡等請求事件

69-19

市営住宅の入居者が暴力団員と判明した場合、部屋の明け渡しを求めることができるとした西宮市の条例に基づき、明け渡し請求を受けた入居者から「条例は違憲である」と争われた事件で最高裁第二小法廷(千葉勝美裁判長)は2015年3月27日、「条例は合憲」として上告を棄却した。
暴力団排除に関する規定は2004年、広島県と広島市が公営住宅の条例に入居資格について暴力団排除を盛り込んだことを初めに、2011年の東京都・沖縄県の条例を最後に全都道府県で施行された。
マンション管理規約においても、同様な規定を設けている管理組合もあり、標準管理規約改正の動きもある。
【判決要旨】
◎西宮市営住宅条例(抜粋)
46条1項柱書
市長は、入居者が次の各号のいずれかに該当する場合において、当該入居者に対し、当該市営住宅の明渡しを請求することができる
同条6号
暴力団員であることが判明したとき(同居者が該当する場合を含む)
・・・ ・・・ ・・・
◆西宮市から退居を求められた入居者の主張
① 合理的な理由のないまま暴力団員を不利に扱うものであるから憲法14条に反する
② 必要な限度を超えて居住の自由を制限するものであるから憲法22条に反する
◆最高裁第二小法廷の判断
① 暴力団員が入居し続ける場合は他の入居者の生活の平穏が害されるおそれがある一方で、暴力団員は自らの意思で暴力団を脱退することが可能であることから、憲法14条に違反しない
② 条例により侵害を受ける利益は、社会福祉的観点から供給される市営住宅に暴力団が入居し続ける利益にすぎず、公共の福祉による必要かつ合理的な制限であるから、憲法22条1項に反しない
・・・ ・・・ ・・・
現行のマンション標準管理規約においては、暴力団排除規定は盛り込まれていない。
国土交通省が設置した「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」では、暴力団排除に関する行政の取り組みや社会的要請がますます高まっていることから、下記のように「マンション標準管理規約改正案」を検討している。
○マンションの1室が反社会的勢力に使用されることは、管理組合の適切な財産管理の観点からも重大な問題であり、マンション全体の資産価値にも影響を与えることが想定されることから、標準管理規約の中に暴力団関係者への賃貸や暴力団事務所としての住戸の使用等の事実行為に対応可能な暴力団等の排除に関する規定を選択肢として盛り込む方向で検討することが適切である。
【参 考】
マンションの新たな管理ルールに関する検討会
マンション標準管理規約改正案(抜粋)
暴力団等の反社会勢力の排除に関する規定
○ 組合員が区分所有権を暴力団関係者に賃貸した場合、その賃貸契約の民事上の効力を否定することができるような実効性のある規約とする
① 組合員が住戸を賃貸する場合には、組合員(貸主)と借主の間で締結する賃貸契約の中に、以下の条項を入れることを組合員の義務とする
ⅰ  賃借人が暴力団関係者であることが判明した場合には、賃貸人は当該賃貸契約を解除することができる
ⅱ  賃貸人が上記解約権を行使しないときは、管理組合は、賃貸人に代わって解約権を行使することができる
② 組合員が、①のような暴力団排除条項を入れない賃貸契約を締結し、賃借人が暴力団関係者であることが明らかになったときは、管理組合は賃貸人に対して、違約金を請求ことができる
○ 暴力団事務所としての住戸の使用等の事実行為に対して、使用禁止を請求することができる旨の新設する
○ 暴力団等関係者への譲渡についても、上記賃貸契約に係るものと同様であること等、解説(コメント)に記載する
(大規模修繕工事新聞 第69号)


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