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判例検証/EV内での小便、他住民への怒声・傷害事件

2010-12-12-15

EV内での小便、他住民への怒声・傷害事件…
迷惑住民を追い出せますか?

区分所有法59条に基づく競売等請求事件

区分所有者の1人(60歳代・男)が他の所有者らの共同の利益に反する行為を行ったなどとして、管理組合が59条に基づく競売を求め提訴していた件で仙台地裁は2008年11月25日、被告の迷惑行為などから管理組合の請求を全面的に認める判決を下した。管理費等の未納金約180万円や訴訟費用も全額被告が支払うよう命じている。

【事件の概要】
(被告の具体的態様)
・ エレベーター内に複数回にわたって小便をし、管理員にその清掃や消臭を余儀なくさせた
・ 暴力団関係者と思われる人物がマンションに乗り込み、被告住戸の前で大きな怒声をあげて、ドアを激しく殴打するなどしたことがあった
・ 数年間、複数回にわたって、住民に対して大声で「出て来い」等叫び、玄関ドアを蹴って大きな音を立てた
・ エントランスロビーに無断で絵画を展示。これを注意した理事長の首を突くなどの暴力で傷害を負わせた
【地裁の判断】
・ 管理組合は、被告の行為を原因として、区分所有権等の競売請求を求めている
・ 被告に対する畏怖困惑を訴える住民が増えたため20年4月、被告への59条競売請求に対する弁明書面の提出を通知したが、被告は通知の受領を拒否した
・ 20年6月、総会で競売請求の申立てが特別決議により可決した
・ 被告には、問題解決のために原告と話し合おうという姿勢がない
・ 共同生活上の障害を回避するために(競売の)他に相当な方法があると解されない
【結論】
・管理組合の請求はいずれも理由があるので、認容する
・ 管理組合は、被告の有する物件の区分所有権、敷地利用権に
ついて、競売を申し立てることができる・被告は、管理費等の未納金約180万円と支払え

【解説】
強制的な所有権等の剥奪の重み
59条は、6条に規定する「区分所有者の共同の利益」に反する行為を行った区分所有者の区分所有権と敷地利用権を強制的に競売できると定めた条項。伊沢文子裁判官は「区分所有権の剥奪という厳しい効果をもたらすことから、判断は十分慎重になされるべきだが、共同生活上の障害を回避するために他に相当の方法があるとは解されないから、競売請求を認めることもやむを得ない」としている。
59条競売による所有権等の剥奪については近年、「他に方法がない」という判断以外は認められていない(東京地裁平成18年6月27日判決、東京地裁平成20年6月20日判決)。しかし、よほどの迷惑行為と認められれば所有権の剥奪は可能なのだ。

(大規模修繕工事新聞 第12号)


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