工事中、居住者が最もストレスを感じるのが、外壁補修で使用されるドリルの騒音だ。従来の工法はドリル音だけでなく、ドリルの打撃音によって振動が躯体を通して各住戸に伝わり、それが生活空間のストレスになっている。
FST工法は90件の特許の複合的応用からなり、各工程が特許によって構成されている。
第1工程で使用する低騒音ドリルは、ダイヤモンドヘッド、高速回転によって、モルタルやコンクリートの削る作業を行う。
粉塵も同時に吸い取る仕組みであるため、削った後の躯体もきれいで樹脂が接着しやすい状況を作る。
面取りに続いて樹脂を注入する工程がある。細いノズルにより、最深部から注入する事で確実に充填することができる。従来工法では躯体の最深部に届いていないケースも少なくなく、建物の強度自体の不安にもつながっていた。
最後の工程ではキャップ一体型の全ネジピンを挿入し、仕上がりの綺麗さと強度を高めている。
工法を手がけるFSテクニカル㈱の担当者は「従来工法も含め、工法の内容や根拠を認識して、どの工法に費用対効果があるかを選択してほしい」と話している。
(大規模修繕工事新聞 第71号)