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外壁改修って何?《その5》

2011-03-15-27

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地震によるコンクリートの
ひび割れと塗膜の関係

東日本大震災の影響によって、外壁コンクリートにひび割れが見られたマンションもあり、改めて被害の大きさを感じる方も多いと思います。しかし、そもそも塗料は耐震性を考慮しておりません(本誌15号参照)。仕上げ材のひび割れと躯体の亀裂は区別すべきです。
ひび割れは構造等への大きな被害であり、「手抜き工事だ!」「即修繕を行わなければ大変なことになる」─そんな住民の方々の不安をあおるような風評については、冷静に判断していただきたいと思います。
1)塗料のタイプ(凹凸模様塗り)
凹凸模様塗りなど比較的厚く塗るタイプの塗料には硬質タイプと弾性タイプがあります。硬質タイプは、アクリルリシン(JIS6909:外装薄塗材Eなど)や吹き付けタイル(JIS6909:複層塗材E、REなど)です。
このうち、弾性タイプは大きく分けると3種類に分かれます。
①微弾性タイプ⇒ 微弾性塗料(JIS6909:可とう形改修塗材Eなど)
②弾性タイプ⇒ 弾性タイル(JIS6909:防水形複層塗材Eなど)
③高弾性タイプ⇒ 建築用途膜防水材(JIS6021:アクリルゴム系塗材など)
弾性力(軟らかさ)は①⇒②⇒③の順に大きくなります。
2)塗料の役割
地震のような外的な要因でひび割れが生じる主な事例は次の通り。
・ コンクリートの乾燥収縮(水分が蒸発して体積が小さくなってひび割れる)
・ 寒冷地区などで冬季コンクリート中の水分が凍結して膨張し、この膨張厚でひび割れが発生する
・ 地震、弱い地盤や幹線道路の近くなど建物に振動や
応力が加わりひび割れが発生する
・ コンクリートの中性化が進行して鉄筋が腐食し膨張してひび割れる
塗料の役割は「コンクリートの保護」で、直接ひび割れ防止につながるのは、上記のコンクリートの中性化を防止してひび割れが起きるのを防ぐことです。
その他の原因によるひび割れを塗料で防止することはできません。できることは、ひび割れが発生しても弾性塗膜のようにひび割れに追随して伸びることでひび割れ内部の中性化を防止し、ひび割れの拡大を防ぐ(遅らせる)ことです。
3)地震との関係
上記のように地震による外力によるひび割れを塗料で防ぐ事は現実には不可能です。
ひび割れる/割れないの限界点では、中性化を遅らせてコンクリートの強度を保ってひび割れが発生しにくくなるといえるかもしれませんが、今回のように圧倒的な外力が加わったひび割れを防ぐのは不可能です。
また、1)のように最大でも1~2㎜以上のひび割れに塗膜は追随しませんから、それ以上クラックが入ると塗膜も持ちません。
逆に言えば見た目で判断すると外観上はひび割れていなくても塗膜の下のコンクリートはひび割れしている可能性もあります。
4)まとめ
塗料(塗膜)の役目は上記のように躯体そのものを強化するものではありません。今回の震災のような強力な力が加わった場合、塗料(塗膜)の性能の限界値を超えており、これに対してすべて工事の手抜き等の風評が流れるのは間違っています。
逆にこのような震災につけ込んで改修工事をあおるような発言にも注意が必要です。
ただし、経年劣化の伴うものは、きちんと管理しなければ管理責任が問われる場合もあります。管理組合の方々には冷静に考えて対応を行っていただきたく切に願うものです。

(大規模修繕工事新聞 第17号)2011-05

11-05-17-18


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